
かに座
「人間の小ささ」を大切に

名店に倣う
かに座から数えて「最も公的な眼にさらされる場所」を意味する10番目のおひつじ座に「発展と飛躍」の木星がめぐってきた2022年下半期は、かに座にとって「平凡に染まる」時期なのだと言えます。
昨今言われている「自己実現」というのは、実のところ社会的地位や名声を得て、それなりの富を得ること、すなわち成功して有名になることを言っている場合がほとんどですが、それは裏を返せば虚しい自己顕示欲ゲームに駆り立てられ続けるということでもあって、今期のかに座はいかにそうしたゲームを保留にし、「偉くなること」や「有名になること」に囚われずにいられる境地を模索していけるかが問われていくのです。
それは言い換えれば、もっと「安っぽい人間」になって、日々の負担を減らし、他と大差のない人間のひとりとして、それ自体でおのずから肯定されている実感を自分や周囲にそれとなく波及させていけるか、ということでもあるはず。
もちろん、これは人付き合いの努力を怠れとか、職分を放棄しろと言っている訳ではありません。むしろそうした努力を積み重ねながらも、人間らしさを失わず平凡に過ごしたり、安っぽく在り続けることを大切にするという話で、これは現代社会において最も難しい修行のひとつでしょう。
そしてその際、助けになってくるのは目標とするロールモデルをきちんと持つこと。例えば、新宿駅の駅ビルという大企業の思惑に満ちた場所で、20年以上にわたって愛され続けているベルクというカフェなどはちょうどいいモデルかも知れません。別にそれは個人経営の居酒屋やラーメン屋であってもいい。平凡に染まるとは、きちんと土地に根を張って商売や生活を営んでいくということに他ならず、今期のかに座もそうした味のある名店に倣っていくべし。
2022年下半期:かに座の各月の運勢
7月「イノベーションへの追い風」
7月10日に前後して、かに座を運行している「創造的試み」の太陽が、「覚醒作用」の天王星と小気味よく協力し合っていきます(60度)。
私たちは日常生活において、とかく面倒な太陽の取り組みから脱落して、怠惰で気分屋の月に飲み込まれていきやすい訳ですが、この時期は自分本来の創造性や自立性が力づけられ、視野が広がって身近な日常のしがらみに巻き込まれることも少なくなっていくはず。
特に、「働かざる者食うべからず」といった旧来的で古臭い価値観から解放されるような後押しを受けやすいので、結果的に「過去の成果や蓄積」と「新たな要請」を結びつけていくような創造的な取り組みを、より自由に、フットワーク軽く行っていくことができるでしょう。
8月「深海の戯れ」
8月9日に前後して、かに座を運行している「趣味的交わり」の金星が、「極端な深まり」の冥王星と真正面から向き合っていきます(180度)。
この配置は、言わば深海の底まで潜って深海魚と戯れるようなもので、例えば時代と思いきり逆行しているマニアックなことに少数派と一緒になって取り組んだり、自分を圧倒するような人物の本を独りでとことん読み込んでいったり、ゾッとするような感覚に魅せられてとんでもない「虎穴」にみずから飛び込んでみたりといった「濃い体験」や「戦慄の神秘」をとにかく追求していきやすいでしょう。
9月「混沌のなかの再生」
9月10日には「中秋の名月」を迎え、うお座17度で満月が起きていくのですが、この度数のサビアンシンボルは「復活祭のそぞろ歩き」で、これは自己刷新の様式化を象徴しています。
「中秋の名月」は古来より非常に重要な節目とされてきましたが、今回の満月前後の時期は特に、人々が好き勝手に賑々しく、混沌とした喧噪の中で霊感のままに自由に振る舞いやすく、そうして盛り上がることが結果的に日常に新たなムーブメントを作り出していくのです。
ここでは、それが多くの他者を巻き込んだ形で顕在化していきますから、何らかのお祭りに参加したり、そうした集まりを主催してみるのもいいかも知れません。
10月「天はそれを笑いはしない」
10月5日前後にはかに座の守護星である月が、「伝統的慣習」の土星と重なり、さらに「反骨精神」の天王星と鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
これは合意的現実を破って、普遍的なものに矯正していく典型的な配置であり、この時期は緊張を強いられる重い決断を下していくことになりやすいでしょう。単に外野から自由や変革を叫んでいるだけなら気楽なものですが、それを内側からそれなりの責任をもって実行していこうとすればかなりのストレスがかかるはず。
しかし、ここではそれをやるのです。たとえローカルな社会ではそれが当たり前なのだとしても、「天」すなわち宇宙的法則や普遍的原理から反しているのであれば、思い切ってそうした“当たり前”を切り捨てる勇気をふり絞るべし。
11月「しなくていい苦労をあえて重ねる」
10月28日にいったん木星はうお座に戻り、今月から12月20日に再びおひつじ座に戻るまでのあいだ、改めて2022年下半期の全体運で述べた「平凡に染まる」べく、いかに個人的に飛び抜けた存在から、ごく普通の人間へと近づいていけるかが問われていくはず。
そして、そこで鍵となってくるのが「持続可能な幸せとは何か」ということ。すなわち、短期的なメリット・デメリットを追うのではなく、一見すると無駄に思えることや不幸になりそうなことに手を出していくことで、いわば「雨降って地固まる」式にみずから土壌を分厚く豊かにし、今後10年くらいに渡って活動していける活動基盤を整えていかなければならないのです。この時期はそんな種まきと助けあいを通じて、世俗にまみれていくべし。
12月「やらかしを糧にして」
12月23日にはやぎ座の頭で新月を迎え、それがおひつじ座に戻ったばかりで「ギフト」を司る木星と鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
これは思い切った勇み足をしていくか、飛び抜けて横道に逸れていくような配置であり、理想や希望など自分の人生から失われてしまったものを取り戻していくためのアクションをしかけていくにはもってこいのタイミングです。
特に、「これは」と思ったチャンスや誘いがあれば即座に飛びついてみるといいでしょう。それが結果的に実を結ばなかったとしても、挑戦したこと自体が、あなたの人生に思いがけない贈り物をもたらしてくれるはず。間違っても慎重策を取るあまり、小さくまとまってしまうことだけは避けたいところです。
2022年下半期:かに座の「お守りにしたい言葉」
群衆とたやすく結婚する者は、金庫のように閉ざされたエゴイストや、軟体動物のように殻に閉じこもった怠け者などには永久に与えられることのないような、熱烈な享楽を知るのである。彼は、めぐり合せが提示してくれる職業のすべて、歓びのすべて、悲惨のすべてを、自らのものとして受け入れる。(『ボードレール全詩集〈2〉』阿部良雄訳、ちくま文庫)
パリ生まれの詩人ボードレールは、匿名の人間として群衆のなかをひとり、ぶらぶら歩きする愉しみを「群衆に沐浴(ゆあみ)する」と表現しました。
そうした群衆のなかにあって、個という小さな囲いを外し、通りかかる未知のものにみずからをそっくり与えてしまう快楽を、上記のように述べてみせたのです。
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