やぎ座
世界が以前とは違う輝きを帯びてくるまで
どれだけDIYしたか
やぎ座から数えて「心の支え」を意味する4番目のおひつじ座に「世間との関わり」を司る木星がめぐってきた2022年下半期は、やぎ座にとって「街を自分でつくっていく」時期なのだと言えます。
人間の一生には幸も不幸もありますが、その評価ということに関しては、自分でその一生をどう総括して考えることができるかの問題であって、幸福度を客観的に測る基準などというものはありませんから、やはり他人が判断できることではないはず。
そして今期のやぎ座はここ10年ほどの人生の浮き沈みを踏まえつつ、いよいよその落としどころを探り始めるタイミングに来ているのではないでしょうか。すなわち、単なる自己満足ではなく、かといって社会に生かされ他者に依存するばかりでもなく、いかに世間や自然との交渉を重ねながら、みずからの生活をどれだけDIYしていけるか。
DIYとは「Do it yourself(何でも自分でやってみよう)」の略で、もともとは第二次大戦時に激しい空襲で廃墟と化したロンドンで、破壊された街を自分たちの手で復興させていく際のスローガンとして使われたことで広まった言葉でしたが、ある意味で、今のあなたもまたそうした“まっさらな大地”に降り立とうとしているのではないでしょうか。
例えば思想家のイヴァン・イリイチは、今の世の中ほど高度に産業化して、あらゆる分野で専門家がいた時代はかつてなかったが、そうして生活が高度に制度化され、そこに適合していくということは、人間を単なる消費者へと家畜化していくに等しいと述べました。
だからこそ、お金を払って専門家に任せるのではなく、自分の手で苦労しながら家や道具を作ったり、何かを改造したり、修理していくことを大事にする。そうしてこそ人間は、もといやぎ座は、みずからの手で「自分の居場所」を切り拓くべく「ひとつの街」や「独立国家」をつくるためのスタート地点に立っていくのです。
具体的には、エアポケットのような場所を見つけて友だちと何かのお店を開くのでもいいし、畑仕事を始めるのもいい、地域活動に参加してみるのもいいでしょう。高収入は望めなくても、自分と家族が生きていくだけの場をどうにか確保できればいい。少なくとも、やぎ座にとって2022年下半期は、改めてそうした活動が活発化していくタイミングに入ってきたのだと言えるでしょう。
2022年下半期:やぎ座の各月の運勢
7月「気分はガウディ」
7月2日に前後してやぎ座の守護星で「計画性」の土星は、「言語化」の水星と同調し結びついていきます(120度)。
この時期は、毎日コツコツと規則正しいリズムを刻んでアウトプットが進んでいきやすいでしょう。さながら、家を建てる際にまず何度も推敲を重ねて設計図を描いてから作業を進めていくように、今後の計画を立てたり、自分を取り巻く状況や向かうべき目的地までの地図を描いていくのもいいかも知れません。
ただし、土星は「遅延」の意味もありますから、サグラダ・ファミリアのように未完成な状態そのものを楽しむつもりで臨んでいくべし。
8月「それなりの破綻を前提に」
8月8日に前後してやぎ座の守護星で「枠組み」を司る土星が、「暴発」の火星と「逸脱」の天王星の組み合わせと鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
今の日本政治の問題点は野党が与党の対抗勢力にまったくなり得えていない点にありますが、この配置はそうした現実とは逆に、むしろ既存の施策に対する非常に明晰で組織だった異議申し立てや改善案と全力でぶつかることで破綻したり覆されたりしていく政府与党のようなイメージでしょう。
もちろん全面的な政権交代に陥るというより、これまでは通用してきたやり方やシステムの不具合や機能不全が指摘されたり実際に立ち行かなくなったりする部分が出てきて、路線変更を余儀なくされるという形に近いですが、相応の衝撃やストレスは覚悟するべし。
9月「箱庭と向きあう心理療法家」
9月21日に前後してやぎ座の守護星で「熟慮と秩序」の土星が、「芸術と感性」の金星と相応の努力を伴いつつも結びつこうとしていきます(150度)。
この配置は、どこか患者のつくった箱庭と向きあい、治癒へ向かうようファシリテートしていく心理療法家のようでもあります。それは大抵長期にわたる共同作業となりますが、その際どんなに奇異な相手であれ、支離滅裂な箱庭であれ、紋切り型の判断で切り捨てることなく、じっくりと向き合ってそこに何らかの固有の秩序や価値を見出すことができるかどうかというのが、心理療法家の腕の見せどころとなってくる訳です。
あるいは、異常と正常の二元論に陥るのではなく、そのどちらをもきちんと取り込んでいけるだけの深い創造性を問われていく時期なのだとも言えるでしょう。
10月「無常識者であれ」
10月12日に善してやぎ座の守護星で「現場のルール」を司る土星が、「普遍的法則」を司る天王星と鋭くぶつかり合いつつ(90度)、「創造性の発揮」の太陽と同調的に結びついていきます(120度)。
これは価値観のアップデートと大いに関係のある配置で、いいねやフォロワー数が社会的評価に直結したり、物事をスマートに分かりやすく説明できる人こそが優秀な人であるといった、現代社会特有の(「風」的な)価値観に対して、世間や自分の周辺では見落とされ、軽視されているような感覚体験の大切さや鮮烈さがぶち込まれることで、風穴が開けられていくでしょう。
とはいえ、太陽の援護もありますから、そうした体験をきちんと自分の行動に繋げていくこともできるはず。これまでの「常識」はここで捨てていきましょう。
11月「こちらの想像力を引き出してくれる道具を選ぶこと」
10月28日にいったん木星はうお座に戻り、今月から12月20日に再びおひつじ座に戻るまでのあいだ、改めて2022年下半期の全体運で述べた「街を自分でつくっていく」というテーマを推し進めるべく、ここで自分は何/誰によって生かされていて、その働きにどうしたら貢献していくことができるのかが問われていくでしょう。
そして、そこで鍵になってくるのが、「道具との付き合い方」。すなわち、機械が人間を奴隷化した現代社会において、自分の代わりに働いてくれる道具ではなく、自分とともに働いてくれる道具や技術をこそ選んだり、磨いたりしていこうということ。
イリイチの言葉を借りるならば、そうして「過剰に効率的でない道具を採用する」ことでこそ、「自分が選んだ未来へ向けて行動する能力」を取り戻すことができるはず。
12月「長老のムーブをする」
11月29日から12月3日にかけて、やぎ座の守護星で「研究・開発」を司る土星が、「自己主張」の火星と「魅力」の金星と援助的に結びついていきます。
この配置は、やはり人前で自分の温めてきた計画や考えを打ち出していくこと、しかも、勢いやノリに任せて単発で打ち出してそれっきりにしてしまうのではなく、何度も練り直しながら、継続的に、我慢強く訴えかけたり、交渉したり、巻き込んでいこうとするようなイメージで、伝統的な集落や共同体における村長や長老のような役割の動きにも近いかも知れません。
トータルな人間性が問われていく時期でもありますが、うまくいけば大きく現実を動かしていくことできるはずです。
2022年下半期:やぎ座の「お守りにしたい言葉」
誰かが瓦礫を道端に/押しやらねばならない/死体をいっぱい積んだ/荷車が通れるように(…)誰かが梁を運んで来なければならない/壁を支えるために/誰かが窓にガラスをはめ/ドアを戸口に据えつけなければならない(ヴィスワヴァ・シンボルスカ、沼野充義訳『終わりと始まり』未知谷)
90年代にノーベル文学賞を受賞したポーランド出身の女性詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカの「終わりと始まり」という詩の冒頭部分のみ抜粋。
この詩は具体的な特定の戦争に即して書かれたものではありませんが、共産主義体制の崩壊、そしてその後の社会的混乱を背景に書かれたものであり、彼女自身、一旦は共産党員になったこともあったものの、やがて政治活動から離れ、静かに自分の詩の言葉を磨き続けていきました。
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