さそり座
しずけさの技術
運気の息継ぎ
さそり座から数えて「規律と調整」を意味する6番目のおひつじ座に「発展と拡大」の木星がめぐってきた2022年下半期は、さそり座にとって「ストレスから離脱する」時期なのだと言えます。
今の時代はみなが疲れ切ってしまっている、「一億総慢性疲労の時代」とも言えますが、そうした疲れというのは、往々にして息の乱れに出るもの。すなわち、いつの間にか呼吸が浅く短くなっていたり、息と動きにブレがあったり、他人の息と自分の息がずれていたり、という状態が顕著になってしまう。
ただこれは逆に、息を深く長くしていったり、息と動きを連動させられるようにしていくことさえできれば、慢性的な疲労状態から抜け出していくことが可能だということでもあります。
それを踏まえると、今期のさそり座というのは、ここ10年ほど自分の人生を運んできてくれた運気の息が「尽き」てきたと同時に、新たな息へと次いでいくべく、自分なりの「息継ぎ」をして呼吸を整えていくことがテーマになっているのだとも言えるでしょう。
つまり、自分にとって気持ちのいい、最適のテンポをさぐって、息の「溜め」を設けたり、テンポを少し落としてみたり、タイミングを微妙にずらしたりして、脳やからだのすみずみにまで酸素を循環させていくのです。
その際大事になってくるのが、「疲れるという回路」をできるだけシャットアウトして、きちんとスイッチを切っていくこと。それは人間関係であれ自分自身の行動や身を置いている環境であれ、心の動揺する機会を減らし、生活の中で思わず呼吸が荒くなりがちなストレス部分を切り捨てていくということでもあります。
今期はそうして、できるかぎり息の乱れを減らしながら、感情のコントロールを心がけ、息を深く太く鍛えあげていくべし。
2022年下半期:さそり座の各月の運勢
7月「息を吐き尽くす」
7月2日に前後して、さそり座の2つの支配星である「がんばる力」を司る火星が、「死と再生」の冥王星と鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
この配置は、火事場の馬鹿力を発揮するとも言えますが、実際にはどちらかというと燃え尽き症候群だとか、火消しされてしまう側の体験に焦点が当たっていくことの方が多いかもしれません。
いずれにせよ、無理なことはしないで、ほどほどに、平和的にということができない時期ですから、いっそここで持てるエネルギーを全部使い果たしていくくらいのつもりで過ごしてみるといいかも知れません。
8月「息を大きく吸い込むために」
8月2日に前後して、さそり座の支配星である「行動力」の火星が、「楽しみ」の金星と小気味良く協力しあいつつ(60度)、「より広い範囲の影響」を司る天王星と重なり合っていきます。
これは、どこか楽しみながら、これまで行ったことのない場所や世界へとポーンと足を延ばしていくような配置と言えます。前月の重苦しさから一転して、どこか肩の力の抜けたライトな空気感が漂いますが、天王星はかならず既存の文脈の切り離しや孤立化を伴いますから、見方によっては、普段は都会の雑踏に慣れている人が、周囲に人間が誰もいない岬の先端や山奥に取り残されたような心許なさを感じるでしょう。
しかし、それくらいの大胆な切り替えがあって初めて、息を大きく吸い込めるのだとも言えるかも知れません。この時期はそうした行動の脈絡のなさそのものを楽しんでいきましょう。
9月「“YES”は人生のパスワード」
9月1日に前後して、さそり座の守護星で「やる気」の火星と「贈与」の木星とがリズミカルに感応しあっていきます(60度)。
木星がこういう形で火星と関わると、他者からの引き立てにあいやすかったり、自分でも不思議なくらい楽しくなってきて、無理な努力をしなくても物事がトントン拍子に進んでいきやすくなります。
とにかくノリのよさと前向きさが大事になってくる時期なので、あまり相手を疑ったり、自分を低く見積もったりせずに、ジム・キャリー主演の『イエスマン “YES”は人生のパスワード』という映画のごとく、めぐってきた機会にはできる限り「YES」や「OK」を繰り出していきたいところ。
10月「ととのう」
10月12日に前後して、さそり座の守護星で「筋肉の動き」を司る火星と、「弛緩」の海王星が互いに鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
この配置は、さながらサウナに入った後の水風呂を経て、外気浴をするという一連の流れを繰り返していく際に起こる「ととのう」体験に近いかも知れません。このサウナ用語は、脳や全身の緊張が半ば強制的に緩んで、不意に頭がパッカーンと開いたような快感が訪れる、一種のトランス状態のことを言います。
「別次元に飛ばされたよう」とか、「天国にいるような感覚」などとも形容されますが、これも広義の意味で呼吸を整えることの一環なのだと心得るべし。
11月「違和感の掘り起こし」
10月28日にいったん木星はうお座に戻り、今月から12月20日に再びおひつじ座に戻るまでのあいだ、改めて2022年下半期の全体運で述べた「運気の息継ぎ」というテーマをまっとうするべく、この時期は疲れや緊張の根本がどこにあるのか、改めて自分と向き合っていくことがテーマとなっていくでしょう。
そして、そこで鍵になってくるのが、「理想と現実のギャップ」を振り返ってみること。すなわち、受け入れざるを得ない現実や慣習、システムのなかで、これまで感じてきた違和感や不満を再確認していくことで、それらが自分の心身にどれだけ影響を与えてきたのかという自覚を養っていくのです。
12月「肉体を置いていく」
12月8日に前後して、さそり座の守護星で「エネルギーの燃焼」の火星と、「活性化」の太陽が真っ向から向き合っていきます(180度)。
この配置は、異様な熱を帯びて集中した興奮状態にはいった人がほとんど疲れを感じなくなっていくところをイメージしてみるといいでしょう。例えばピカソは長時間ずっと立ったまま絵を描き続けたことで有名ですが、アトリエに入るときには必ず靴を脱ぎ、その瞬間に肉体もそこに置いてきてしまうような感覚があったそうです。
つまり、絵をいくら描いていても、からだがないからどれだけ長時間立ちっぱなしだろうと疲れないという境地を、みずからの習慣として作りあげていったのです。これもいわば安定した呼吸力の賜物なのだと言えます。
2022年下半期:さそり座の「お守りにしたい言葉」
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。(川端康成『雪国』新潮文庫)
あまりにも有名な書き出しの1行ですが、ただそこから始まる小説世界では、ドラマチックな起伏や葛藤はほとんど起きません。代わりに、四季が移ろっていくのと同じ速さで描かれる淡い交情があり、互いに浸透しあい存在している人間関係があり、それがひとつの独立した小宇宙となるまで昇華されていきます。
俗悪なものにも、高貴なものにも等しく刺し透すように視線を投げかけていく作者の眼差しと力みのない文体は、静かで滑らかな「息継ぎ」をも促してくれるはず。
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