みずがめ座
邪悪なものを無害化する試み
メディアとしての自己
みずがめ座から数えて「行き交い」を意味する3番目のおひつじ座に「自己肯定×他者肯定」を司る木星がめぐってきた2022年下半期は、みずがめ座にとって「言霊を宿す」時期なのだと言えます。
私たちの社会というのは、いつからか“わき見”や“よそ見”がいちじるしく規制され、まっすぐに前だけを見て物事に取り組んだり、視線を一点にくぎ付けにしていくことが促される一方で、広告にしろコンテンツにしろ、何かと視覚を通じて一方的にこちらの時間が奪われる、視覚による管理や統制がひどく進んだ社会になってしまいました。
しかしながら、五感のヒエラルキーにおいて視覚が最も優位な立場に躍り出たのは、遠近法と近代物理学と印刷術が登場したルネサンス以降の話で、中世までの特に宗教世界では、もっとも洗練された感覚であり、もっとも世界の豊かさを教えてくれる感覚は聴覚であり、ついで触覚で、視覚はあくまで3番目の位置づけでした(中村雄二郎『共通感覚論』)。
なぜこんな話をしているのかと言うと、みずがめ座にとって2022年下半期は、あなたの元に「訪れるもの」と自分との関係性によって大きく左右されていきやすいタイミングだからです。
すなわち、「おとづれ」という言葉はもともと「音連れ」であり、「音を連れてくる」と書くように、フッとコトバがやってくること(これを古来より日本では「言霊(ことだま)と呼んできた」)を聴覚によって捉え、宿し、聞き分けることこそが、そこでは最も重要になってくるということ。
つまり、座標軸を設定して、私がここにいて、あなたはここで、社会がこうあって、世界はこうなっていると、あれこれ視覚的に関係づけていくのではなく、何かあらぬ方向からやってくるものをキャッチして、そのいずれかを選択して喚起されたり、内に宿したり、招いたりしていくという聴覚的な関わりによって、自分と他者、現在と過去や未来との絆を深めていくこと。それが2022年下半期のみずがめ座のテーマになっていくはず。
2022年下半期:みずがめ座の各月の運勢
7月「たくさん穴のあいた自分でいよう」
7月10日に前後して、みずがめ座の守護星で「切り離し」を促す天王星が、「創造的な取り組み」を司る太陽と小気味良く協力しあっていきます(60度)。
そもそも天王星というのは、同質のもの同士で小さく固まってしまうことを許さないところがあって、この配置ではそれがどんどん活性化していくので、おのずと興味関心の矛先や足を運ぶ先もまた、いつもとは異質なテーマや場所になっていくはず。
この時期は鉛玉のような固い自己ではなくて、あちこちに飛んでいったり引っかかったりしてたくさん穴があいて、そこをさまざまな音や風が通り抜けていくような自己像をイメージして過ごしてみるといいでしょう。
8月「ジェットコースター感覚」
8月2日に前後して、みずがめ座の守護星で「アクシデント」を司る天王星が、「パッション」の火星と重なりつつ、「ジョイ」の金星とリズミカルに感応しあっていきます(60度)。
この配置はいわば、ドライブデートをしている最中に、議論が白熱して周りが見えなくなっていくような情景に近いかも知れません。はた目から見ると大変危なっかしいのですが、ありきたりで予定調和なデートにあきあきしている場合には、とても刺激的でエキサイティングな体験をしていきやすいでしょう。いっそ、ジェットコースターに乗るくらいの感覚でアクシデントを楽しんでいきたいところです。
9月「耳を傾ける勇気」
9月15日頃から土星の逆行が終わる10月23日頃まで、みずがめ座の守護星で「革新」の天王星と「点検」の土星とが、鋭くぶつかり合っていきます。
この時期は、あなたがこれまで見逃してきたポイントについて指摘を受けていきやすいでしょう。それは往々にして耳が痛い内容であり、受け止めるにも勇気がいることと思いますが、もしあなたがきちんと耳を傾けることができさえすれば、自分に足りない要素や欠落部分を補っていくことができるはず。どんな相手であったとしても、ここぞという時には「耳を傾ける勇気」を発揮していくべし。
10月「夕占の情景」
10月14日頃にみずがめ座の守護星で「想定外」の天王星と、「交流」を司る金星がかなりの努力を伴いつつも結びついていきます。
この配置は、古代人が親しんだ「夕占(ゆうけ)」の情景にも通じています。人々の輪郭がぼやけ、溶け合っていく夕暮れ時に、橋のたもとや四辻などの往来に立って呪文を唱え、おのれを無にしてメディアにしてから、通りすがる人々の言葉に耳を澄ます。そこでフッと耳に入ってきた言葉で、自分がどういう行方なのかを自分で占っていくのです。
こうした儀式にはちょっとしたコツと、鋭敏な感度が求められますが、うまくいけば新しいタイプの喜びをもたらしてくれるでしょう。
11月「お忘れじゃありませんか?」
10月28日にいったん木星はうお座に戻り、今月から12月20日に再びおひつじ座に戻るまでのあいだ、改めて2022年下半期の全体運で述べた「言霊を宿す」というテーマをまっとうするべく、これまで心に留めてきたさまざまな言葉や思いのなかで、深く溶け合っていきたいと切に望んでいけるものを選り分けていけるかどうかが問われていくでしょう。
そして、そこで鍵になってくるのが、「自分は何を忘れてしまっていたのか」ということ。あなたはこれまで人生を先回りしてさまざまな準備を重ね、手を打ち、自分なりに完璧を期してきたはずですが、そうして埋めても埋めても埋めても埋めつくせない何かというものが人生には必ずあるのです。それで途方にくれていると、「お忘れじゃありませんか?」と声がかかる。できればそういう出会いをしていきたいところです。
12月「一つの謎となっていく」
12月18日に前後してみずがめ座の守護星で「突然の変化」をもたらす天王星と、「魂の導き手」の水星が同調して盛り上がっていきます(120度)。
この組み合わせは、根源的な「驚き」に打たれることと大いに関係しています。とはいえ、この世の現実を司る「土」サイン同士の結びつきなので、この時期はもっぱら世間的な価値観や基準が相対化されていく形で現われやすいでしょう。
こちらの知的理解が及ばない何かを見いだした時、人は自分の周囲が謎・困惑(アポリア)に包まれていくように感じるものですが、この時期は逆にあなた自身が周囲にとってひとつの謎のように映っていくかも知れません。
2022年下半期:みずがめ座の「お守りにしたい言葉」
ある晩、月のかげ射すリンデンの並木道を口笛ふいて通っていると、エイッ!ビュン!たいへんな力で投げ飛ばされた(稲垣足穂『一千一秒物語』ある晩の出来事)
この「ある晩の出来事」と題されたきわめて短い作品は、近代日本文学的な湿っぽさを拒否し、ひとり硬質な別世界を作りあげた稲垣足穂の代表作『一千一秒物語』に収録されたお話の一つ。
ここでは主語はどこかへ失われ、ただ論理を超えた感覚のみが跳躍していく。あるいは月や星を人間に置きかえ、擬人化するのでなく、逆に人間が星になってしまう。そんなタルホ的感覚はやはりある種の「おとずれ」の存在学であり、無重力発生装置のスイッチのようにあなたを天へと突き落としていくはず。
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