うお座
まなざしの偏りをならしていくこと
新たに作る以上に古きを壊す
うお座から数えて「自己価値」を意味する2番目のおひつじ座に「勢いと拡張」の木星がめぐってきた2022年下半期は、うお座にとって「動的平衡の流れを引き寄せる」時期となっていくでしょう。
私たちは、いい役柄を与えられた役者に急に風格が出るようなごく稀なケースなどを指して「化ける」と言ったりしますが、これはあくまで外部の視点から人間を見たときの話で、その内側から人間いや生命を見ようとするなら、実はそういうことはたえず起きているのだということが分かります。その点について、生物学者の福岡伸一は「福岡伸一の生命浮遊」という連載のなかで、次のように述べています。
たとえば私たちの消化管の細胞はたった2、3日で作り替えられている。1年も経つと、昨年、私を形作っていた物質のほとんどが入れ替えられ、現在の私は物質的には別人になっているのだ。つまり、生命は絶え間ない分子と原子の流れの中に、危ういバランスとしてある。私が自らの生命論のキーワードとしている「動的平衡」である。
ここで「危ういバランス」と言っているのは、そもそも生きているということ自体が、自己同一性を保ち続けると同時に、元の自分ではなくなり続けるということだから。その意味で、今期のうお座というのも、人生に新陳代謝を促し、よりいきいきとした自分になるべく、プライベートであれ仕事の関係であれ、「新たに作る以上に古きを壊す」ということが必要になっていくのではないでしょうか。
逆に言えば、生命というのは古きを壊すことができなくなっていけばいくほど、工学的な操作や産業上の規格、効率よい再現性といったテクノロジーの対象である「死んだ自然」にみずから近づいていくのであって、そうした“死への流れ”に抵抗するためにも、今期のうお座はいま自分が抗うべき「静的状態」や、はみ出るべき支配構造は何なのかということを改めて明確にしてみるといいかも知れません。
2022年下半期:うお座の各月の運勢
7月「夢の受け渡し」
7月3日頃にはうお座の守護星で「夢見」の海王星と、「商売」の水星が鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
日本の中世社会では、夢という儚いものがまるで商品のように価値あるものとして流通していたり、瓜二つに再現すれば夢の価値が本物からコピーの方へ移行して現実化したりということが盛んに起きていたようです。
この時期はまさに誰かに夢を語ったり、逆に誰かの夢を読んだり聞いたりしていく中で、自分には不要な夢を渡したり、実現したい夢を受け取ったりといったことが実際に起きていきやすいはず。メルカリで売買する感覚で夢を放出したり、もらい受けてみるといいでしょう。
8月「“情”が飛び交う」
8月12日に前後して、うお座の守護星で「浸透性」の海王星と、「燃焼性」の火星とが小気味良く呼応しあっていきます(60度)。
この配置では、意識的に変容意識状態へのスイッチを入れることができたり、普段の自分とは異なる人格をもった分身を生み出したりといったことが起きていきやすいはず。
とはいえそれは、エゴの固着を離れ、自他の境界線を飛び越えて“情”が盛んに行き交っていくということでもあって、いつも以上に季節の移り変わりを痛感したり、逆にこれまでお熱だったコトやモノから急に熱が冷めたりという形でも現われていきやすいでしょう。
9月「目に見えない形で得たもの」
9月17日に前後して、うお座の守護星で「犠牲」の海王星と、「前進する力」の太陽が真正面から向かい合っていきます(180度)。
この時期は、民話の「カチカチ山」でタヌキの乗った舟が、じつは泥でできていて、途中で水中に沈んでしまったように、期待が幻滅に変わるような出来事が起きやすいかも知れません。
しかし、それはこれまで想像すらしなかったような一歩を踏み出していくための貴重な犠牲を払っていくということでもありますから、必ずしも悪いことだとは限らないでしょう。目に見える形で失ったものよりも、目に見えない形で得たものにこそフォーカスしていきたいところです。
10月「真面目さの強制シャットダウン」
10月12日に前後してうお座の守護星で「休息」の海王星と、「奮闘」の火星とが今度は鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
この強烈にぶっ飛んだ配置では、真昼間のオフィス街で銭湯に入った後にワインのボトルをあけるといった、まるで日頃のがんばりを骨折させるかのような、自分でも「ありえない」形で休息がもたらされていきそうです。しかし、それくらい大胆でアクロバティックなことをしなければ、根底にあるうお座なりの真面目さがシャットダウンできないのも確かでしょう。
この時期は通常モードの自分とは矛盾したアクションを取っていくことで、どこかで思いきり羽を伸ばしていくことが必要なのだとも言えます。
11月「怪演モードに入るべし」
10月28日にいったん木星はうお座に戻り、今月から12月20日に再びおひつじ座に戻るまでのあいだ、改めて2022年下半期の全体運で述べた「新しきを作る以上に古きを壊す」というテーマをまっとうするべく、あえて自分に対する風当りが強い場所に立っていったり、ストレスのかかる挑戦へと自分を追い込んでいくことができるかが問われていくでしょう。
そして、その際鍵になるのが、いい意味で「女優モード」になっていくこと。清純派のイメージをぬぐいきれず今ひとつパッとしない若手女優が、自分から悪女役を買って出て演技に没頭していくことで自分の殻を破っていくように、いかにこれまでの自分の古いイメージをかなぐり捨てていけるかが、この時期は大事になってくるはずです。
12月「これでいいのだ」
12月15日に前後してうお座の守護星で「カオス」の海王星が、「キラキラ」の太陽と今度は鋭くぶつかり合っていきます(90度)。
この配置は、方言丸出しで話すテレビタレントをイメージするとちょうどいいかも知れません。標準語に無理やり自分を押し込めて、洗練されているふりをするよりも、判で押したような量産型の“キレイさ”を圧倒していくくらいの歪みやヘンテコさの方が時によっぽど魅力的に映るように。つまらない線引きや息苦しいカテゴライズそのものを無効化していくことこそがこの時期のテーマなんです。そうやって「これでいいんだよ」と少しでも自分に言ってあげたいところ。
2022年下半期:うお座の「お守りにしたい言葉」
国内の山村にして遠野よりさらに物深き所には、また無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。(柳田國男『遠野物語』)
古来より、「山」というのはつねに国家に抗う「まつろわぬ民」の住処だったのであり、そこで伝えられてきた鬼や天狗、山男、山姥などに関する伝承や民話を聞き書きし、書物として1910年に刊行された『遠野物語』は、現代を生きる私たちにとっても、架空のおとぎ話というより、どこかで現実の向こう側へと突き抜けていくためのリアルな手がかりとなっているのではないでしょうか。
なお、35歳でこの書を世に問うたことで見事に「化けた」著者の柳田は、後に日本民俗学の父と呼ばれる存在になっていきました。
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