おとめ座
氷解と変身
本質を問う
今週のおとめ座は、「在りし日に歌集五冊世に問ひて模索してやまず「歌とは何か?」」(棗隆)という歌のごとし。すなわち、「自分とは何か?」という問いを少しずつ氷解させていくような星回り。
てのひらというものが、自分の個人史であり、宛先のないはがきであり、しばしば自分自身の曇り鏡であるように。歌人にとっては、自らの詠んだひとつひとつの歌というものが、てのひらに刻まれた線と同じ役割を果たしていくのだろうと思います。
冒頭の歌は、70歳で亡くなった成瀬有という歌人の追悼歌集からの一首ですが、昔も今も本物というのは自分のやっていることの本質をつねに問い続けているかどうかという一点にあったのでしょう。
歌人であれば短歌とは何か、俳人であれば俳句とは何か。あるいは、占星術師であれば占星術とは何か。そして、個人であれば自分とは何か。
今週のあなたは、「自分とは何か」という問いに関する参照元として、過去の体験やその解釈をあらためて書き直し、消し直ししていくことになりそうです。
イノベーションを遂げていく老舗企業のように
「伝統的」と言われるお店や会社は、長く大切にされてきたこだわりを貫き通すことで自らのアイデンティティーを保とうとします。しかしその一方では、時代や社会のニーズに合わせて柔軟に変化することを厭わないことが多く、それが時代を超えて長く人々に愛される理由なのかもしれません。
これを逆にして考えれば、伝統を壊そうとする人がいるからこそ、伝統は続いていくのだとも言えます。
同様に、自分とは何かを問うということは、自分とはこういうものだいう無意識のこだわりに疑問を持つということであり、パターン化したラベリングやカテゴライズを捨てていくということでもあります。
今週は改めて自己の変身へ向かって、スリリングに思考や言葉を脳裏に這わせていくべし。
今週のキーワード
自叙伝としての歌、そしててのひら