おとめ座
愛語の工夫
人間の語らいと虫のそれ
今週のおとめ座は、「彼方の男女虫の言葉交わしおり」(原子公平)という句のごとし。すなわち、世の中でなされている当たり前のことを、自分らしく行っていくような星回り。
おそらくは夕暮れ時で、あたりには虫の声が聞こえている。恋人同士とおぼしき1組の男女がなにやら会話をしているが、その内容までは聞こえない。おそらくは、周囲の虫たちと同じように愛を語らっているのだろうか。
作者はおそらく、そうした人間同士の愛いの語らいも、虫たちのそれも大して変わらないのではないか、という「視点」を掲句に持ち込んでいる。
確かに、愛を確かめる言葉というものは、何を語ったのかという言葉の中身が問題となるというよりも、その音色や言葉のトーンの方こそが重要な意味を持ち、もっと言えば発された音であるという点に本質がある。
自分ならば、どんな音を発するだろうか? いやその前に、虫たちほど真剣に言葉を発したことが自分にはかつてあっただろうか?
そんなことを考えながら、今週は自分に必要な相手を求めるための愛の言葉について、工夫をめぐらしていきましょう。
会話は間で決まる
よくよく観察してみると、ふだん交わしている会話というのは、ほとんどの場合どこかしらズレており、完全には噛み合ってません。
ただ、言葉の流れが速すぎると、噛み合っていないことにすら無自覚になってしまい、私たちは会話を繰り返しながらどんどん鈍感になっていきます。なんとも物悲しい話ですね。
今週はできれば会話のリズムを、いつもより少しだけゆっくりにしてみましょう。
誰かの言葉に反応し、それに対する言葉を何かしら口にする前に、自分の感情についていったん噛みしめる「間」をつくるように。すると、相手の反応もいつもと様子が違ってくるはずです。
今週のキーワード
美しい音色を奏でること