おとめ座
時にはわけわかんない自分でもいい
もののはずみの結果
今週のおとめ座は、『山茶花やいくたび訪へば通ふなる』(藤井あかり)という句のごとし。あるいは、自分でも予測不能な動きにそのまま従っていこうとするような星回り。
「山茶花(さざんか)」は、木枯らしが吹く頃に枝先に白か淡紅色の五弁の花を咲かせますが、古来より、異常なほどに散る様子が多く詠まれてきました。
咲いたかと思うと、すぐに散りはじめる。掲句はそんな危うげな魅力の漂う山茶花への呼びかけとともに始まり、「いくたび訪へば」と続きます。すなわち、これと決めた山茶花をどれだけ見舞いに尋ねていけば、こちらの気持ちが相手に届くのだろうかと、まるで恋占いでもするかのように問うているのです。
どの山茶花にするのかは、初めに目にした時からすでに心惹かれていたのかも知れませんし、なんとなく通っているうちに次第に1つの山茶花を目で追うようになっていったのかも知れません。
これは花を擬人化しているのではなくて、あくまで花を花として恋慕っている訳で、それは種族の垣根を超えるぞと息まいてそうしていると言うより、ふと気付けば、いつの間にかそうなっていたのでしょう。
同様に、18日におとめ座から数えて「ネットワーク」を意味する11番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自身に生じた「もののはずみ」に気が付いていくことになるはず。
理解は後からそのうちやってくる
現代社会での議論というのは、どうしても特定の言葉を押さえれば理解できるという具合に「キーワード化」されていく傾向がありますが、橋本治によればこうした考え方が浮上してきたのは1980年代半ば頃のことだったそう。
結果的にそれは「ネットで検索すれば何でもわかる」という考え方が普及していくための布石となった訳で、それから40年近く経った今や、私たちは自分自身をキーワード化していくことにも何ら抵抗感がなくなってきたように思います。
ただし、先の句のようなふるいにかけにくい経験は、「もういい年なんだから」といった雑な処理や、「人間嫌いへの反動」といった紋切り型のラベル貼りではなかなか処理に苦労する訳で、そういう経験というのは気を付けてみると意外とよくあるものです。
その意味で、今週のおとめ座もまた、自分自身を含めて何かを「簡単に分かろうとする」ような惰性的な知性の使い方にいかに見直しをかけていけるかということが問われていくでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
処理不能な行動をあえて取り続けることの大切さ