おとめ座
脱力と燃焼
余計な緊張がとけていく
今週のおとめ座は、『春の日を一杯に浴び画もかかず』(小川芋銭)という句のごとし。あるいは、詰まり気味になっていた頭蓋の“栓”がスポンと抜けていくような星回り。
河童の絵を多く残した日本画家として知られる作者は、明治から昭和にかけての激動の時代を通じて、身近で働く農民の姿などを絵に描いては新聞などに発表していたそう。
しかし、そうした日々の仕事のことなどすっかり忘れてしまうような、やわらかく温かな春の日があったのでしょう。
掲句では「画(え)もかかず」といったマイナスの表現が「春の日」ののどかな空気感と結びつくことで、全身からすっかり余計な緊張感がとれて、脱力していくような効果を生みだすことに成功しています。
絵にしろ文章にしろ、作者の芸術性格は自由にのびのびした様子の体現にありましたから、余技であったはずの俳句においても、掲句のようなどこか天真爛漫で俗に汚れていない魂の雰囲気が伝わってくる作品がよく生まれていたのかも知れません。
同様に、4月9日におとめ座から数えて「自由自在」を意味する11番目のかに座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、いつも頭の隅にある強迫観念などはどこかにうっちゃって、からだの赴くままに自分自身を解放していくことができるはずです。
映画『スクール・オブ・ロック』の主人公ジャック
みずから立ち上げたバンドをクビにされた時代遅れの熱血ロックンローラーであるジャックは、ひょんなことから名門私立小学校の臨時教員になりすますうちに、親や学校から教えつけられた規範のなかで窮屈そうに自分をもてあましていた生徒たちをたきつけ、ひねくれた「よい子」だった生徒たちも次第に変わっていき、バンドバトル出場を目指して猛練習を始めていく―。
とまあ、あらすじはそんなところなのですが、これはある意味で働く現代社会の大人たちへの風刺にもなっているように思います。例えば、職場や自身のキャリアの文脈で「ミッション」なんて言葉を使おうものなら、すぐに「ソーシャルグッド」なんて言葉が出てきて、どうしたって立派で大人びたものでなくてはならないような気がしてくるはず。
そんな時に、先のジャックが生徒たちに対し「ひとつのライヴが世界を変える。それがロックンロールのミッションだ!」と息巻くシーンを思い出すとき、そうか、バンドというものが表現であると同時に事業であるならば、個人のミッションだってもっとロックンロールでいいはずだと思えてくるのです。だいたい、必死になって見つけ出した「課題」の「解決」なんて、やるだけつまらないでしょう。
その意味で、今週のおとめ座もまた、もっと肩の力を抜いて自身のミッションというものを捉えなおしていくことがテーマなのだと言えます。
おとめ座の今週のキーワード
ミッションをロックンロールする