おとめ座
終わりの選択
※12月13日〜19日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。
次回は12月19日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
運命の演出
今週のおとめ座は、「しぐるゝや駅に西口東口」(安住敦)という句のごとし。あるいは、きちんとみずからの意思を選択に反映させていこうとするような星回り。
西口と東口がある駅は、日本全国に数えきれないほどありますが、掲句はそれがまるで運命の分かれ道でさえあるかのように感じさせてくれます。
冬の初めに降る、目まぐるしく変わる通り雨である「しぐれ」は、自然界から色を消していきますが、私たち日本人はそこに無常の心と共に美しさを見出す感覚を磨いてきました。
掲句では、そうしたしぐれのなかでさびれゆく景色に、西口と東口とを浮かばせることで、それを単なる日常風景の一部から、出会いと別れの場所へと演出してみせることに成功したのだと言えます。
花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ
11日におとめ座から数えて「他者」を意味する7番目のうお座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、いま目の前にある選択肢を真正面から見据えていきたいところです。
終わりの想像
いい映画の条件とは一体何でしょうか?
監督の世界観、俳優の演技力、脚本の出来、映像技術の高さ、サントラの充実ぶりなど、いろいろな要素があるでしょう。しかし、また見たいと思わせる映画に共通しているのは、決まって終わり方の素晴らしさに他なりません。
いくら展開が愉快なものであろうと、それが延々と続けば冗長になってしまう。せっかくの感動的な愛のストーリーも終わり方を間違えれば途端に白けてしまう。物語には終わりがあり、まだ終わってほしくない、続いて欲しいと思っているからこそ、その前の一コマ一コマがまるで薔薇の花びらのように輝いて見えてくるのです。
例えば、自殺した文豪・芥川龍之介は「君は自然の美しいのを愛し、しかも自殺しようとする僕の矛盾を笑ふであらう。けれども自然の美しいのは、僕の最期の目に映るからである」と『或る旧友へ送る手紙』で書いていました。
同様に、今週のおとめ座もまた、関わる相手との別れをそっと頭の片隅で思い描きつつ、目下のやり取りを存分に楽しんでいくといいでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
最期の目