おとめ座
甘さの価値を認めていくこと
愛されるための三つの条件
今週のおとめ座は、「風邪床にぬくもりにける指輪かな」(中村汀女)という句のごとし。あるいは、手持ちの武器を再評価していくような星回り。
掲句を一読して風邪で寝込んでいる主婦の生活のリアルを背景に読み込むこともできますが、もっと大事なことを端的に詠んでいるようにも思えます。
それは甘さということの価値。日本社会ではことに甘さとか感傷的であることを、どこか若さや未熟さの証しとして嫌うところがありますが、甘さも浅いのでなければ必ずしも排撃すべきではないのだということを、掲句はあえて多くを語らずして伝えているのではないでしょうか。
体温と一体となった指輪を「ぬくもりにける」と詠んでみせた作者の胸の内にあるのは、おそらく指輪に込めているほのかな愛情であり、それを確かに感じさせてくれる叙情性は、単に「甘さ」の一言では片づけられない価値があります。
それは嫌味に流れない程度の適度の甘ったるさに、気の利いた観察眼と、言葉の巧みな駆使があわさった作者ならではの個性であり、それら三つが揃っていたからこそ、万人に愛吟されてきたのでしょう。
27日に自分自身の星座であるおとめ座で下弦の月(気付きと解放)を迎えていく今週のあなたもまた、自身もまたすでにそうした条件をすっかり揃えていることに気付いていくことができるかも知れません。
おばあちゃん方式
掲句と同じくらい甘やかで、愛される存在と言えば、他に「おばあちゃん」が挙げられるかも知れません。じつはある種の「おばあちゃん」は人間の進化の一つの完成形態なのではないか、そんな風に思うことがありますが、特に今週のおとめ座は、ゆったりとした動作で仕事に精を出すおばあちゃんを思い浮かべてみるといいでしょう。
「おばあちゃん」は、若者のように「力づく」とか「素早く器用に」立ち回ることができません。何事にもゆっくりとした動きで対応しているので、パッと見、すごく非効率的に見えるし、サボっているようにも見えてしまう。
しかしだからこそ自分をごまかすことなく、丁寧かつ確実に仕事をこなしていきます。また、若者にくらべ体力がないので、同時に複数のことはできない代わりに、一つの仕事が終わるまで丁寧にそこに時間をかけていきます。
そしてなにより、見ていると思わず手伝ってあげたくなり、人から声をかけられやすいのも特徴であり、結果的に人の手を借りるのもうまくなるので、仕事を終わらせるのもそんなに時間はかからないのです。
のんびりと暇そうに見えて、実はきっちりとそれなりの量の仕事をしている。今週のおとめ座は、そんな「おばあちゃん方式」を取り入れてみるのも一興でしょう。
おとめ座の今週のキーワード
外柔内剛