おとめ座
こころのうごき
こちらは9月13日週の占いです。9月20日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
いっそひらりと宙返り
今週のおとめ座は、「未だ二人端居してをりねたましき」(古田中久二雄)という句のごとし。あるいは、何でもないような仕方で深く心を響かせていくような星回り。
この句を詠んだとき、作者は死期が迫った病人としてあり、永眠時もまだ27歳の若さでした。同時期の句に、「秋風や生きねばならぬわけもなく」というものもあります。
つまり、「端居」している「二人」を見て「ねたまし」いという告白は、生きねばならぬわけもなくなってきた人の詠嘆であり、単なるねたましい気持ち以上の何かだった訳です。
それは諦めとも執着ともつかないような、ただ大いなるものの力に引かれてゆくのをひしと感じつつある、いのち知る者の深い心の哀れさであり、嫉妬や羨望とは正反対のなにか透明な感情だったのではないでしょうか。
それを表わすのに、あえて「ねたましい」という文字を使ったがゆえに掲句の価値はさらに高まったのです。人間悟ったようなことを言うほど悟ってないのと同様、悟ってないことを言うほど悟っているのだと思わせることに、これほど成功している句も滅多にないのではないでしょうか。
14日におとめ座から数えて「気持ちの奥底」を意味する4番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、なかなか折り合いのつかない思いにこそいっそ正反対の表現を与えてみるといいかも知れません。
手元を風が吹き抜けていく
今週のおとめ座のテーマは、ある意味で「パラノ(固執)」から「スキゾ(逃走)」へという風にも置換えることができるかも知れません。
つまり、おとめ座らしく過去や人から受けた恩や傷にこだわったり、是が非でも挽回しようという態度から、それらをさっと水に流す行為へとシフトしていく、といったように。特に気合いで何とかするとか、頑張ればぜったいに結果につながる、なんてマンガ的精神論はここで即刻捨ててしまいましょう。
あるいはもし、いまあなたが抱えている利益や立場を大事に感じていて、現状のパターンややり方に安住しようとしているなら、そのパターンによって得られる安定安全の虚構性をいま一度疑ってみる必要がありそうです。というのも、脳というのは余裕がなくなるほどに絶えず誤作動を起こしていくものだから。
今週のおとめ座は、手元をいそがしく動かしていくというより、そこを時おり吹き抜けていく風の感触や、そこで感じた気持ちの流れにこそ感覚をとぎすませていくといいでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
固執から逃走へ