おとめ座
一点突破
ぎりぎりの成立条件
今週のおとめ座は、中野重治の「歌」という詩のごとし。あるいは、自分の思ったことを自分がしたいようにやって何が悪いと啖呵を切っていくような星回り。
おまえは歌うな
おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな
風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな
すべてのひよわなもの/すべてのうそうそとしたもの
すべてのものうげなものを撥き去れ
すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ
では、どうすれば言いというのか。この詩は次のように締めくくられます。
もっぱら正直のところを
腹の足しになるところを
胸さきを突きあげてくるぎりぎりのところを歌え
この特に最後に訴えかけるところのものは、身の内の熱を最大限に高めてぶつけようとするという意味でしし座的ではありますが、いまのおとめ座にとってはこれくらいでちょうどいいのではないでしょうか。
13日におとめ座から数えて「命懸け」を意味する5番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、相手を抉るのでなければ、自分を食い破るのでなければ「歌う」などという表現行為は成立しないのだということを、改めて痛感していくことになるはずです。
現状維持の停止
日本社会にはいまだに「やりたくないことを我慢してやること=仕事」という考え方が蔓延しており、少しでもそこからはみ出している人を見つけると、寄ってたかって袋叩きにするのを正義か何かと勘違いしている人が少なくないように思います。
しかし、大きな運気の流れで見た時、こうした我慢=仕事という文脈から今のタイミングで外れていこうとしているのがおとめ座の人たちと言えるでしょう。
多くの企業は不況になったり事業に行き詰まってきた時ほど、無理やり仕事を作って雇用を維持し、赤字になっていくパターンを踏襲してしまいますが、その点、今のおとめ座のテーマはそうした無理な現状維持をいさぎよく止めてしまうことにあります。
こう言うと、必ず「現実は甘くない」という言葉が飛んでくるものですが、今後社会は“好きで好きでたまらないもの”があるかどうかということそれ自体が精神的な豊かさの指標になっていくはず。その意味でも、先の「もっぱら正直のところを歌え」という中野の詩は、今のおとめ座にとって大いに指針となっていくのではないでしょうか。
今週のキーワード
啖呵を切る