おとめ座
鏡をのぞき込むとき
悟得の朝
今週のおとめ座は、「朝ひとり博物館に来てをれば五千年前の陶器ほほゑむ」(櫟原聰)という句のごとし。あるいは目にした言葉や、時間を共にした相手の影響を吸い取って、自分が変わりつつあることに気付いていくような星回り。
実のない夫婦喧嘩ほど醜いものはなく、実のある夫婦喧嘩ほど美しいものはない。
とかつて誰かが書いていましたが、男女であれ、ヒトとモノであれ、そのあいだに横たわる関係性の意義というのは、たった一度の邂逅では決して分かりっこありません。
それは数度にわたる裸の葛藤によってようやく垣間見えてくるもの。けれど、それが五度目なのか、七度目なのかは誰にも分からないし、葛藤といったって大げさに騒ぎ立てればいいというものでもありません。
ただ、相手とのあいだに必ずあるズレやブレが、何かがカチリと回ることで解消されたり、かえって大きくなったりした末に、不意にドキリとするほどピントが合って、自分がどんな顔をしているのか分かってしまう瞬間がくる。
自分は美しくなっているのか、醜くなっているのか。今週はそれが分かる瞬間がやって来るかも知れません。
サジェスチョン
ところで「一冊の本を読み終えたという人に用心せよ」というラテン語のことわざには二つの受けとり方があります。
まず一冊しか読んでいない状態は偏見の塊に他ならないという解釈、そして、本当の意味で本を読むというのは書いてある文字と意味を流し読むだけでなく、行間まで読み込んで、熟読や精読の域にまで深めることだという解釈。
おそらく、「一冊の本」を「ひとりの人間」に置き換えても、同じことが言えるでしょう。 あなたは本当に目の前の誰かのことを、本当に読み込めていますか?
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