おとめ座
やすらぎの鉱脈
素檗(そばく)の境地
今週のおとめ座は、「降をさへわするゝ雪のしずかさよ」(藤森素檗)という句のごとし。あるいは、悔いを残さぬように、やるだけのことをやっていこうとするような星回り。
作者は今から約200年前の江戸時代後期に生き、はじめ信州上諏訪の油問屋の主人だったのが、俳句のために財産を使い果たし、晩年は大変困窮した人。けれど、掲句をよめば、それほど悔いはなかったのではないと思えてきます。
降っていることさえ忘れてしまうくらい、音もなく降り続ける雪。恐らくは故郷の光景なのでしょう。そこには、いろいろなことがあったけれど、いま自分がこんなにも満ち足りた心持ちでいられることへの感謝の念が「しずか」に伝わってくるかのようです。
この場合の「しずか」とは、深く根源的なやすらぎを感じているような「閑」に近いですし、これは作者がもしどれだけお金を稼ごうとも、そうした心境は得られなかったはずです。
26日(木)におとめ座から数えて「個人的なカタルシス」を意味する5番目のやぎ座で日食新月を迎えていく今週のあなたは、純粋に自分の満足を追求していく生き方の方へ、また一つ自分をシフトさせていくことがテーマとなっていくでしょう。
何を掘り当てれば“ラッキー”なのか?
「ラッキーストライク」の言葉自体を直訳すれば「運よく鉱脈を掘り当てる(命中!)」となります。
ここで考えてほしいのは、では何を“当て”れば、今のあなたは思わずラッキーだ!と心から思うことができるのか?ということ。
宝くじの高額当選? 望んでいた仕事のオファー?
いやいや、仕事や人生設計については自分で何とかできるから、やっぱり縁のある異性とのよい出会いや、意中の相手からの色よい返事でしょうか?
けれど、電車の中吊り広告やテレビで流れていたCMで見たような、そんなありふれた欲望のなまぬるい充足にスポイルされることを、本当にあなたは望んでいるのか。むしろ、それらではちっとも満ち足りてないという「大いなる飢餓」への自覚と、全身が湧きたつような渇望へいたることこそ、「当たり」なのではないか。
今週は、そうしてみずからの内にある底知れない欠乏を受け入れていくこと。それ自体が時間かけて掘り出していくべき鉱脈なのだといえるでしょう。
今週のキーワード
御船千鶴子