おとめ座
円熟と発掘
「酸い」な自己肯定
今週のおとめ座は、甘味と渋味の中間にあるものとしての酸味の味わい深さのよう。あるいは、下品にならない程度に自分をさらけ出していかんとするような星回り。
さまざまな経験を積んで成熟した人間のことを、「酸いも甘いも嚙み分けた」と表現することがありますが、これは以外に古い言い回しで、「酸い」というのを現代の基準でレモンのような酸味と考えてしまうと、途端に話がよく分からなくなってしまいます。
日本の伝統的な酸味というのは、そもそも甘味も含んでいるのであって、例えば醸造酢のような「まろみ」に近く、だからこそ「嚙み分ける」必要があるし、それには両者の微妙な違いを区別するための‟基準”を知っていなければなりません。
つまり、甘味というのは「俗」であり、人目を気にし過ぎており、その対極である渋味の「脱俗」すなわち一切の比較対象がそぎ落とされた隠遁者的な精神的円熟の境地を‟基準”とすることで、「いき」な甘さ=「酸い」を感じ取っていくことができる。
そしてこうした「酸い」の感覚は、22日(日)におとめ座から数えて「自己の発見と創造」を意味する5番目のやぎ座へと太陽が移っていかんとしていく今のあなたにおいても鍵となってくるはず。
円熟味のある自己否定を基準にしつつ、ありのままの自分への甘い自己受容とは異なる、「いき」な自己肯定をいかに繰り出していけるかが、今週のおとめ座の大切なテーマとなっていくでしょう。
小さな「生まれて初めて」を発掘する
人間の思考には限界があります。
たとえば、まったく不可能とは言えないレベルのことでさえ、ある程度長く生きてしまうと、どこかでもう自分には達成できるはずがないと色んな事を勝手に諦めてしまうように出来ているのです。
そして、そのうち本当に思考が止まってしまう。
いったんそうした負のスパイラルが進行してしまうと、「死ぬまでにやりたいことなんて、別にない」とまったくの本心で思うようになったりもします。
そういう時は、とにかく、「生まれて初めて!」という体験を、味覚であれで匂いであれ、どんな形でもいいから、自分の身体に感じさせること。それに尽きます。
そういう刺激や衝撃が、体のどこかに潜んでいた、生きているうちに体験してみたい重要項目がフーっと浮上させてくるのです。
どんな小さな「初めて!」でも構いません、まだ見ぬ未知の体験を通して、今週は忘れていた自分自身を取り戻し、その願いを打ち出していくべし。
今週のキーワード
酸いと甘いを嚙み分けた上で、酸いを堪能していくこと。