おとめ座
消息をつかまえる
「ひょっとしたら」の向こう側
今週のおとめ座は、「針葉の光鋭くソーダ水」(藤木清子)という句のごとし。あるいは、当たり前の日常のすこうし先の光景を脳裏に映し出していくような星回り。
雨雲が去り、よく晴れた昼下がり。澄んだ大気のもとに日が差し込み、窓の向こうに針葉の1本1本がくっきり見える。テーブルの上には、清涼感にみたちソーダ水。すべてのものの輪郭が鮮やかに浮かび上がっており、作者の心も同様に澄み切っているのでしょう。
そんなときは代わり映えのしない日常も、なんだかいつもと少し違ったもののように見えてくるから不思議です。
そして3日(月)におとめ座から数えて「社会的役割」や「責務」を意味する10番目のふたご座で新月が起きていく今週のあなたにもまた、掲句同様、人生の見え方がこれまでと違ってきてしまうような「新たな決意」が要請されてくるはず。
あなたは、一体自分の人生にいま何を望んでいるのでしょうか? そして、それを実現させていくためには、どんな犠牲を払っていく必要があるのか。
今週は、理想とする生活のカタチやディティールについて、改めて紙にでもざっと書き出してみるといいでしょう。
何かが起こりそうな気配を捉える
現代社会に暮らす私たちは、同じようなことばかり起こる日常の連続をごくごく平凡なことだとか、退屈で価値のないことと思いすぎる傾向があります。そのため、何か劇的な変化を求めてついつい変わったことをしたがったり、有名になろうとしてみたり、旅行へ出かけたり、もっとお手軽に酔っ払らったりしている。
けれど、何かが起こりそうな気配の発生してくる震源地というのは、非日常ではなく、やはり日常の中に埋没して在るものです。掲句のように一見何も起こっていない‟閑静な”光景にこそ、目を向けるべき対象は潜んでいる。
例えば、「あの三流の付き人を演じているのは、一流の役者かも知れない」 といった、「ひょっとしたら」の感覚。それが幾度か重なり、「まさか」の渦となって高揚し始めてきたとき、現実はあっけなくひっくり返り、スッとかすかな消息を残してどこかへ消えてしまったりする。
結局、そういう消息をつかまえようとする時にこそ、自然と「決意」は固まっていくものなのではないでしょうか。
今週のキーワード
自然なる決意