おとめ座
潜在的実感の噴出
滔々と流れ続けてきたもの
今週のおとめ座は、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」のごとし。あるいは、爆発的な自己表現を通して、潜在していた精神の流れを噴出させていくような星回り。
さまざまな動物たちが遊んだり喧嘩したり狩りをしたり法要したりしている姿を描いた鳥獣戯画は、漫画のルーツと言ってもいい傑作だが、成立は800年以上前の平安時代末期。
貴族たちがイノシシのことを詩歌で表現しているあいだも、庶民たちはイノシシ狩りをしていました。
彼らはイノシシのことを空想や文学の世界の抽象的なモチーフとしてではなく、自分たちのすぐそばにいる身近な存在として生々しく感じていた。
鳥獣戯画というのは、いわばそれまで雅な世界では表現される機会を持たず伏在していた庶民たちの生活感覚やそこで大事にされてきたものが大噴出したものだった訳です。
今週のあなたもまた、あなたの中で滔々と途切れることなく流れ続けてきた生々しい実感を何らかの表現行為を通じて解き放っていくことができるはず。
技術的に優れているかとかそういうことは置いておいて、これがかわいくてたまらないとか、そういう素朴な実感をどうか大切にされてください。
グルーヴにのってどこまでも
鳥獣戯画しかり、百鬼夜行絵巻しかり、時として絵空事にも時代を超えて生き続けていくような魂が宿るものですが、ここで大事なことは、そうした絵空事も必ず人間の手足を通して創られる、ということ。
例えば、洗練された形式が整えられ、あるいは普遍的な意味付けを与えられるようになる以前の歌には、労作歌(ろうさくうた)のような日常的な労働や共同作業と結びついて歌われた、よりプリミティブな段階があります。
そこで人々は、歌のグルーヴに呼吸をあわせ、また呼吸にあわせて身体を揺さぶることで、自然や風物とより深く一体化し、天然の酩酊状態に入っていました。
どんな環境においても、その環境下でよりよく生きられるよう人間を解き放っていくグルーヴというものが必ずあり、身体は無意識にそのうねりや流れを模索しているのです。
今週はできるだけ身体を通して喜びを共有し環境と調和していきたいというプリミティブな感覚に立ち戻って、表現やクリエイティブに勤しんでいきましょう。
今週のキーワード
天然の酩酊状態