おとめ座
業をさらす
沈黙の中で浮かんでくるもの
今週のおとめ座は、「星空ヘ店より林檎あふれをり」(橋本多佳子)という句のごとし。すなわち、自分の心臓の鼓動を聞き、自分自身の音楽を見つけていくような星回り。
空には星が輝き、店先には赤々とした林檎が並べられている。言われてみれば、りんごの表面の無数の点や模様は、夜空の星々や星雲を連想させる。
地球上のりんご1つ1つにも、「宇宙」があり、鼓動があり、それ自身の奏でる音楽があるのだ。
その味はどんなだろう。
あるいは、そんなりんごに表れる固有の星座をプラネタリウムにして、内側から照らし、残像として浮かびあがらせることで、そこに自分自身の神話を発見していけるかもしれない。
今週は、適当な雑音で自分をごまかすのではなく、沈黙を聞いていくことで、自分らしさとな何かということを、あなたは改めて感じていくことでしょう。
おのれのロクデナシさ加減を知る
何かを書いたり、熱心に話したりするということは、そこに言葉が介在するかぎり、その人の一番奥の方に巣くっている生霊(いきすだま)を放ってしまう。
普段、自分でも忘れている生への恐れや、うわべでは上手に隠している悪の部分を解き放っていくということでもあるのです。
したがって、人を傷つけもすれば、みずからも血を流す行為であり、考えれば考えるほどすれすれの振る舞いです。
しかも、それを何かしら「芸」として売り出すようなあざとい真似をしている者なら、皆すべからく“ロクデナシ”と決まっている。
けれど、そんな業さらしな真似をせずにはいられないのも人間の本性なのです。
どれだけ嫌気が差そうと毒気にまみれようと、いったんそういう行為に加担してしまえば、のめり込むばかりで、それらの営みと共に生死を超えていくしかないのです。
今週は、普段自分のしでかしていることの恐ろしさとむごさを抱えながら、それでも誰かに向けて何かしらを発信していく自分の姿をよく見つめていくといいでしょう。
今週のキーワード
生霊(いきすだま)