おうし座
有害な仕事との闘い
フードDIY
今週のおうし座は、デトロイトの街を農業によって変えようとした夫婦のごとし。あるいは、心を亡くし身体を壊してしまうような生き方に対するアンチテーゼを日常に組み入れていこうとするような星回り。
かつては自動車産業で隆盛を極めた米国デトロイト市は、2013年に多額の負債を抱えて事実上の財政破綻に陥りました。街灯も消え、公共サービスも低下し、「全米で最も危険な都市」と言われるようになりましたが、そんな街をある夫婦が農業によって変えようとしたのだそうです。
アメリカ各地で起きているムーブメントを捉えたドキュメンタリー『壊れた世界で“グッド・ライフ”を探して』によれば、彼らは汚染された土壌を耕し、有機栽培によって農作物を育て、地元のマーケットで流通させることで生計を立てており、当然のように儲からず、暮らしは貧乏ではあるものの、それでも街に進出してきた大企業のスーパーへの出荷を彼らがきっぱり断っているのだとか。それは、彼らが実践していたフード・ジャスティスという活動の理念に反していたから。
フード・ジャスティスっていうのは企業の業績アップを手伝うことじゃない。自分で食べ物を育てて、食における自主独立性を広めていくことなんだ。
彼らは婚約の日にショットガンを購入したそうですが、それも自分たちの畑と未来は自分たちで守るという意味を込めたシンボルとしてなのだと語ります。同様に、7月7日におうし座から数えて「生活上の美学」を意味する6番目の星座であるてんびん座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、いかに希望を捨てずに行動していけるかがテーマになっていくでしょう。
有害な仕事と闘うために
哲学者のバートランド・ラッセルは、『幸福をもたらすもの』というエッセイのなかで「この世の有益な仕事の半分は、有害な仕事と闘うことから成りたっている」という極めてリアリストらしい醒めた意見を披露していますが、一方で私心や下心のない好奇心を持つことの大切さについても強く説いています。
いわく、人は自分の利害に関係のあることだけに熱中し、それが人間の活動全体のうちでいかに微々たるものかを忘れがちであると指摘した上で、「知識を身につける機会があれば、たとえ不完全なものでも無視するのは、劇場へ行って芝居を観ないのと同じだ」と述べるのです。
確かにこの世界は、悲劇的かつ喜劇的であるばかりでなく、奇怪な、また不思議な出来事に充ちており、「世界の提供するこの壮大なスペクタクルに興味を持てない人びとは、人生の差し出す特典の一つを失っている」のかも知れません。
今週のおうし座もまた、そんなラッセルの助言に従って、差し当って自分の利害に直結しないだろう出来事にも積極的に手を伸ばしてみるといいでしょう。
おうし座の今週のキーワード
何かがおかしいは大抵確からしい