いて座
あがき抜く
滑稽でもいいから
今週のいて座は、「いちまいの動いてみせし落葉かな」(井原三郎)という句のごとし。あるいは、自分が本当に求めていたものへの強い確信を、ひとり抱いていくような星回り。
死のまどろみから覚めたように、地面の落葉が突然爪を立てて起き上がり、音を立ててどこかへ向かっていく。やがて塵となる運命だからこそ、これまで掴めなかったものを今度こそ掴もうとしているのだろうか。
掲句を読むと、そんな光景が浮かんでくるようですが、それはそのまま今週のあなたの姿と言ってもいいかもしれません。
人は追い込まれてみないと、本当に必要としていたものに目覚めることもできなければ、それに向かって行動することもできないという、実に悲しい生きものです。
今週はそんなもの悲しさを、いかに切実さという原動力に変換して行動していけるかが問われているのだといえます。
すべてが途上であるのだから人生にも遅いということはないのだと、何度でも自分に言い聞かせてください。滑稽でもいい、あなたが真に必要としてるものへと手を伸ばしていくべきです。
小谷野敦の開き直り
批評家の小谷野敦に『軟弱者の言い分』という著書があるのですが、その本の帯には次のような一文が付されています。
「体が丈夫な奴なんか友だちに持ちたくない!軟弱者で何が悪い……誰もが恐くて口にしなかったあんなことやこんなこと、強者仕様の世の中の掟にもの申す痛快エッセイ集」
人間身も蓋もないことを言われると、思わず笑ってしまうものですが、今週のあなたにもまたこれくらいの開き直りが欲しいところです。
胡散臭いと感じたことは、遠慮なく言葉にする。ただし、小谷野さんの凄いところは言い方が平易、かつ爽快感を感じさせるところで、これはなかなか出来そうでできないことです。
思うにその神髄は、七夕の短冊にさらっと「何でもいいから文学賞をください」と書けるあたりにありそうです。さて、あなたは真似できるでしょうか?
今週のキーワード
切実さという原動力