いて座
日常のアニメ化
生きたワンシーンの再構築
今週のいて座は、『遠足のおくれ走りてつながりし』(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、バラバラな行為の集合としてではなく、一連のアニメーションに仕立てていこうとするような星回り。
「遠足」は郊外や野山へと行楽へ出かける行事ですが、春に多いということから春の季語になっています。そして、俳句では動詞はできるだけ減らして1つにするのが定石ですが、掲句では逆に「遅れる」「走る」「繋がる」と3つも重ねて使われています。
おそらく、意味するところは「遠足の列が乱れ、途中で前の人と後ろの人が離れてバラバラになってしまったのが、後ろの人がなんとか走って追いついて、列が元に戻った」というような、ちょっとした遠足の一コマなのでしょう。説明文としてはやや冗長です。
それをまるでアニメーションを作画するかのように、動詞(モーション)を的確に重ねることで、余計な言葉をそぎ落としつつワンシーンを生き生きと再構築し、読者の頭に生き物のような遠足の列の“うねり”を思い描かせることに成功している。けだし名句というのは、こういう句のことを言うのでしょう。
同様に、4月21日にいて座から数えて「儀式化」を意味する6番目のおうし座で木星と天王星の合(センセーション)を迎えていく今週のあなたもまた、何かとやるべきことが増えていきやすいタイミングだからこそ、作者のようにさりげなく技巧をこらしてスッキリさせていきたいところです。
祭りは「祀り」
祭りというのは、元来あらかじめ何月何日何時に始まって何時に終わるということが決まっているような、“かっちりとした行事”ではありませんでした。
近代以降、どうしても共同体の外部に向けた宣伝や普及を含んだイベントとしての「祭礼」、すなわち「人に見せる」「華やかに見せる」ことが目的化したものとしての祭りが強調されるようになってきましたが、あくまで祭りというのは共同体の中での神や霊との一種のコミュニケーション(神事)であり、それは日々の日常と密接に結びついていて、日常の只中に神や霊がおりてきた瞬間にそこは非日常の神域となり、祭りが始まったのです。
同様に、神や霊との特別なコミュニケーション(アニメーション=創造的行為)は、別に神社や神棚、お墓に行った時に開始されるとは限らず、むしろ何でもないような日常のワンシーンにおいて、不意に始まることだって大いにあるはず。
その意味で、今週のいて座はそうした不測の事態にいつ直面してもいいように、あらかじめ準備したり、健康につとめていくことの大切さを改めて痛感していくことになるでしょう。
いて座の今週のキーワード
日常の中の祀り