いて座
本能の軌跡
こちらは6月14日週の占いです。6月21日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
生き様としてのあやめ
今週のいて座は、「鳥辺山ほどに濡れゐるあやめかな」(柿本多映)という句のごとし。あるいは、「これが私だ」と暗に示していくような星回り。
「鳥辺山」は歌枕の地であり、京都清水寺の南の丘陵地帯で、平安時代には火葬場、墓地があったこともあり、“無常”の象徴と言えます。
その意味で、「鳥辺山ほどに濡れてゐる」というのは、なんとも壮絶で、底知れないほどの生き様を抱えて咲いている「あやめ」である、ということになります。
「あやめ」は「あやまち」という言葉ともかかりますから、これは自分自身の過去のあやまちを振り返りつつ、それを「濡れあやめ」に見立てているのだとも言えますが、これ以上の解釈を加えることはもはや野暮というものでしょう。
18日にいて座から数えて「結論・結果」を意味する10番目のおとめ座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、これまで生きてきた証しを何らかの仕方でかたちにしていくべく、みずから動いていくことになるかも知れません。
「足下を掘れ、そこに泉も湧く」
今あなたが参考にすべきは、例えばゲーテのようなある種の天才に他ならないでしょう。それは彼が偉大な文豪であっただけでなく、ワイマール公国の宰相もつとめた謹厳な人物でもあったからではありません。むしろ、それらすべてをひっくり返すほどに、とにかく女性が好きな人で、生涯にわたってそういう自分を肯定し続けられた点にあります。
中でも70歳を過ぎてからも十代の少女に真剣にプロポーズした話などはあまりに有名ですが、そんな彼が若きインタビュアー相手に遺した言葉が冒頭の一言なのです。
これは前後の文脈に照らせば「既に立ってしまっている自分という性分を、世間体や体面など気にせずに一心に掘っていけば、そのうち運も向いてくるさ」くらいのニュアンスなのですが、実際の彼の人生と突き合わせていくと、やはりそこに匂い立つ色気が感じられてくるはず。
今週のいて座もまた、できれば彼くらいの熱心さで知性や常識などとは別のものを働かせていきたいところです。
いて座の今週のキーワード
本能のままに