いて座
前提から見直す
こちらは5月24日週の占いです。5月31日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
特別なスポットを大切にしよう
今週のいて座は、アイルランド語の「ラ―ス」という言葉のごとし。あるいは、大らかかつ大胆に現状へ風穴をあけていくような星回り。
「ラース」とは、その地下には妖精たちの棲家があると伝えられてきた、こんもりと盛り上がったり逆にへこんでいたりする地面の特別な場所を指すアイルランド語で、その上に人間が家など建てるなど言語道断とされたのだそうです。
そこは自然の不可侵の領域であり、地下と地上、すなわち、此岸と彼岸とをつなぐ特別な出入り口と考えられていたんですね。これは日本の神社の鎮守の森などで神域とされる場所に近いですが、そうした人間には計り知れない領域が日常世界と地続きに存在しているという感覚は、現代社会では既に喪われつつあるのではないでしょうか。
少なくとも古代ケルト人たちは、そうした場所を人工につくられたものではなく、ファリ―の仕業であると考えていたか、あえて世界にそういう余地を残しておいた訳です。これは21世紀に入って日本でも人口に膾炙してきた“パワースポット”という言葉ともまったく異質な世界観に根差している概念で、通常の日常意識ではまず捉えることさえできないような霊的世界が、土地の形になって顕現している世界観でした。
26日に自分自身の星座であるのいて座で皆既月食(満月)を迎えていく今週のあなたもまた、資本主義や現代文明から喪われつつ感覚をこれを機に思い出してみるべし。
人生の土壌
日本人の先祖ははるか3万年ほど前に海をわたってこの列島に住みついたと言われています。そして、その中には舟とともに籾をつんで、稲作をはじめた人もいたのでしょう。それ以来、この日本では稲作を中心に社会は栄え、夏には田植えをして、秋には稲刈りをするという作業を気が遠くなるほどに繰り返してきたのです。
春の田んぼでは、田植えの準備として春におこなう田打ちが行われ、それは連綿と受け継がれてきたサイクルに、いよいよ入っていく際に必ず行うイニシエーションのようなものでもありました。
気の遠くなるほど田を掘り返しても、列島の土壌から豊かさは失われることなく、そこに住む日本人に富と豊かさをもたらし続けてきてくれた訳ですが、それと同様に、あなた個人においても、これまで何度も何度も繰り返し心の豊かさを与えてきてくれたものがどこかにあるはず。
今週のいて座は、そんな自分の下で静かに横たわり、目立たないところで支えてくれた人生の土壌について思いを馳せてみるといいでしょう。
今週のキーワード
豊作祈願としての田打ち講