いて座
捉えがたきを捉える
ケプラーとブラーエの違い
今週のいて座は、海と一体化していく波乗りのごとし。すなわち、自らのリズムをチューニングして、押し寄せる無意識下の変化の波に上手に乗っていくこと。
ドイツ出身の物理学者で「量子論の父」マックス・プランクは、史上最も有名な天文学者たちの違いを決定付けるものは、天体の観察結果が最終的に算術的に統合できるだろうという信念をはるかに超越した、深い信仰心の有無にあると指摘していました。
つまり、それがなかったゆえにただの研究者の域を出ない者と、新しい天文学の創造者になる者とが出てくるのだということです。やはり真の意味で自然全体と調和していくにはそうした深い「信仰心」が不可欠なのでしょう。
交感(ボードレール)
「自然は神の宮にして、生ある柱(はしら) 時をりに 捉へがたなき言葉を洩らす。 人、象徴の森を経て 此処を過ぎ行き、 森、なつかしき眼相(まなざし)に 人を眺む。 長き反響(こだま)の 遠方(をちかた=向こうの方)に混じらふに似て、 奥深き 暗き ひとつの統一の 夜のごと光明のごと 広大無辺の中に 馨と 色と 物の音(ね)と かたみに答ふ。 (中略) 無限(はてなし)のものの姿にひろがりて、 龍涎(りゅうぜん)、麝香(じゃこう)、安息香、焼香のごと、 精神(こころ)と官覚(にく)の法悦を歌へる、薫(かをり)。」
「交感」をしていると、人間であれ、なんであれ、ただの人間や自然ではなくなってくる時があります。
そういう時の流れのなか、心の奥底で起き上がって来るものが信仰心なのではないかと思います。そういう意味では、同じ天体現象を見てはいても、交感はしていなかったのかもしれません。 波乗りもまた、海(無意識)との交感なのでしょう。
今週のキーワード
ケプラーの夢