いて座
現実の底が抜ける
板子一枚下は地獄
今週のいて座は、海に浮かぶ奇蹟のイカダのごとし。あるいは、<社会>の中に<世界>を見ていくような星回り。
生活に必要なインフラが当たり前に整備され、自然の脅威がある程度コントロールされた環境に慣れ切った現代人は、どこかで「秩序がまずあって、たまさかの異常事態として無秩序がある」のを当然のものと思い込んでしまっているように思います。
例えば『オイディプス王』などのギリシャ悲劇などを読んだり、江戸時代やそれ以前の俳句や和歌などに接していくと、むしろ「無秩序の海に浮かぶ奇蹟のイカダのようにして、秩序があるのだ」という感覚が濃密に感じられていくことと思います。
もっと平易な言い方をすれば、「日常それ自体が、ありそうもない奇蹟だ」ということになる訳ですが、これは「そもそも社会はクソである」ということの裏返しでもあって、「生きていればいいこともある」「社会も捨てたものじゃない」といった凡庸なおためごかしとは一線を画した認識です。
そこでは、コミュニケーション不可能な<世界>の摂理が<社会>においてもデタラメとして浸透してきているのであり、つまり<社会>の中に<世界>を見ている訳です。
28日(月)にいて座から数えて「すべてを無に帰すリセットの場所」を意味する12番目のさそり座で新月を迎えていく今週は、そうした現代人が忘れかけていた現実認識を自覚的に継承していくことがテーマとなっていくでしょう。
世にまみれる
先の言葉で言えば、「クソな社会にまみれることの中にこそ救いがある」という方へ意識を持っていくのは、非常にイカダ的であると言えるかも知れません。
それとは逆に、クソな社会にまみれていない「真っ白な服」を着ようとしたり、「自分は真っ白でなければいけない」などとなんとなく思い込まされている場合は、これはもう救いようがありません。
例えば、はじめは土に触るのも風呂に入れないのも抵抗があると言っていた新入生が、半年も山に登っていれば、立派な一登山者となっていくように。改めて、世にまみれるための準備運動や、どこかで腹をくくるきっかけが、今のあなたには必要となってきているのかも知れません。
今週は手堅く生存戦略を練ることよりも、自分を自由に遊ばせていくなかで、これまで眠っていた活力に火がついていく感覚に焦点を当ててみるといいでしょう。
今週のキーワード
どんぶらこっこ