いて座
名前を呼んでもらうこと
無名から有名へ
今週のいて座は、「ぬばたまの夜渡る雁はおほほしく幾夜を経てか己が名を告(の)る」という万葉集の歌のごとし。すなわち、いのちのともし火のようになって自分の名を名乗っていくような星回り。
夜空を渡る雁たちが、まるで自分の名前を「名乗る」ように鳴き声を響かせている、というのが大意で、「おほほし」は「はっきりしない、心が晴れない、おぼろげである」の意。
これは「カリ(雁)」という名がその鳴き声に由来するということから発想された歌でもあり、詠み人知らず(作者不詳)である点も相まって、なんとも言えない余韻を残します。
古来より、雁は霊鳥とされ、人の魂を運ぶ特別な鳥だと信じられてきましたが、それは自分の名を忘れてしまった死者が生まれ変わりを経てまた新たに名を持つことの隠喩でもありました。
死を経験する前に、すでに自分が誰で、どんな存在であるのかということを容易に忘れてしまいがちな現代の私たちにとって、こうした想像はおとぎ話のように聞こえるかもしれません。
しかし、万葉の時代に生きた古代人にとっては、それは紛れもない現実であり、否定しようもない実体験でありました。
今週のあなたにとっても、自分の名ということが1つの鍵となってくるはず。
そこに込められた願いや隠された意味を汲み取っていくことを通じて、いかに自己確信を深められるか。それが今週のいて座のテーマなのだと言えます。
風に運ばれて
「風」は古代ギリシャ語では「プネウマ」と呼ばれ、これは英語の「spirit」にあたり、霊的なダイナミズムを表す言葉でもありますが、今週のあなたはまさにそんな風に吹かれていくこと、そして風そのものになって周囲を揺るがしていくようなところがあるかもしれません。
いて座にとって一番の力づけとなるのは多くの人からのリアクションであり、それがまるでお祭りのような賑やかなムーブメントとなって、自分がその火付け役となるばかりか自分の背中を後押しするように、大勢の人がついてきてくれることに他なりません。
高いプライドからくる羞恥心だとか、まだ実力不足なのではないかという不安などと常に戦いながらも、いて座の人というのはそうした大いなる応援を勝ち得ていくための試みに挑戦し続けていくことが一貫したテーマとなっているのです。
そういう意味で、今週は自分のモチベーションを支えてくれているものは何かということを改めて意識させられていくでしょうし、大いに応援してもらえるような自分とはどんな自分なのか、ということが具体的に問われていくタイミングとなるでしょう。
今週のキーワード
ムーブメントとの一体化