いて座
再建のとき
全精力を注ぎ込む喜び
今週のいて座に言いたいことは、とにかく「末席に座るな」ということです。
2017年に入ったいま、無用な気遣いや過度な心配はそろそろ卒業していかなければなりません。
反対に、どんな状況であっても「自分にまかせておいて」と胸を張っていくことができれば、例え初めはポーズであったとしても、あなたは以前にも増して周囲から信頼されるようになっていくでしょう。
同時に、あなたはそこで、個人的な思い込みやうわべ上の議論に基づく根拠のない考えを述べていくか、確かな事実の上に神殿(=精神的な殿堂)を築いていくか、という新たな関門を迎えていくことになります。
いずれを選択していくにせよ、今年からのいて座には中途半端は許されないと心得ておくこと。これはなにも脅している訳ではなくって、それだけ物事に全力で取り組んでいくべき熱い季節があなたにやっと巡ってきたということです。
なかには及び腰になって、腰が引けてしまう人もいるかも知れません。けれど、何かに全精力を注ぎこめる喜びは何物にも代えがたいということも知ってほしいのです。
信仰の再建
13世紀イタリアの実在の人物であり、アメリカ西海岸の大都市サン・フランシスコの由来ともなったアッシジの聖フランチェスコの青春を描いた『ブラザー・サン シスター・ムーン』という映画があります。
裕福な織物商人の跡継ぎだったフランチェスコは、ある朝窓から飛び込んできた小鳥に手を差し伸べ、屋根の上で小鳥の後について手を羽ばたかせたことをきっかけに、やがて自分でも気が付かないほどの大きな変化を経験していきます。そして「フランチェスコよ、崩れかけている私の家を修理しなさい」という声を聞いた後、家も財産もすべてを投げ出して乞食となり、野原で出会った崩れかけたままの聖ダミアン教会の再建にたった一人で着手。くる日もくる日も石を積み上げ続けていき、やがてそんなフランチェスコの姿に感化された人々の手も借りて再建。しかし結果的に街の司教が火を放ち全焼させられてしまう。そしてフランチェスコは一大決心をし、教皇に真実の信仰を問うためローマへ向かう…。
ざっとこのようなあらすじなのですが、この教会を再建するためにひらすら石を積むシーンこそ、まさに今年のいて座のテーマを象徴するものと言えるのではないかと思います。
物理的なレベルでは、フランチェスコらによって再建された教会は灰燼に帰しましたが、彼はひたすら石を積むことを通して、自分の中だけでなく、周囲の人々の中に信仰を再建したのです(最後はローマ教皇の心の中にまで)。
聖人と呼ばれるようになったフランチェスコが、故郷のアッシジへ帰り、兄なる太陽や姉なる月にささげ、小鳥のように歌をうたうラストのシーンは、キリスト教というくくりを離れて、一見の価値があります。どうかご参考までに。
https://www.youtube.com/watch?v=6vp8cDBK5jY
今週のキーワード
神殿を築く、フランコ・ゼフィレッリ監督『ブラザー・サン シスター・ムーン』、信仰の再建、「自分にまかせておいて」(2017年)