いて座
物語ることと選択すること
大いなる変わり目において
今週のいて座は、「薦(こも)を着てたれびといます花の春」(松尾芭蕉)という句のごとし。あるいは、未来と過去を結びあわせていくことで、現在をとりまく大いなるビジョンを紡いでいこうとするような星回り。
この句が詠まれた元禄2年から3年にかけての年というのは、俳諧史上大きな「変わり目」であり、それまでの悲壮な調べから景色を淡々と描く叙景調への転換点にありました。
もともと芭蕉という人は時勢の動きにすこぶる敏感で、紀行文調の『おくのほそ道』の「乞食行脚」によって、俳諧の古風と新風の変わり目を自覚しつつあったところなどは、まさにいて座木星期の真っ盛りにあって、大きな運気の変わり目に位置している今のいて座の人たちにも相通じるところがあります。
掲句の「薦を着て」とは、つまり蓆(むしろ)や薦をかぶっていた乞食のことを指しており、一方で「花の春」とは華々しい新年を迎えていることを指している訳です。
そして、「たれびといます(どんな尊い人がいらっしゃるでしょうか)」では、乞食の姿の中にどんな高貴な魂が隠れているかと疑い、世間の華美にくらまされない眼をもってそれを見出し、それにあやからんことを願ったのでしょう。
今週のあなたもまた、自分がどんな変わり目に位置しているのかをよくよく自覚した上で、自分たちが必要としている美しく力強い物語の調べを整えていきたいところ。
人間的なつながりを感じる方へ
まったくあべこべな話ではありますが、人生の「わかれ道」を通るためには、人は何かを選ばなければなりません。
例えば終電間近の帰り道といったシチュエーションならば、自分の部屋へ帰るのか、それとも実家へ帰るのか、そのほかの選択肢だってあったかもしれません。
結局、自分が選択したのはここだったのか、と後から意識が追いつくことになる訳ですが、それだって本当はそんな予感がしていたのだと思います。
酔うと、どんな人間でも人恋しくなってくるもので、普段は忘れていた人間的な繋がりを思い出させてしまう。
あなたが「人間的つながり」を思うとき、真っ先に思い浮かべるのは誰であって、誰ではないのか。そして、その先に展開されていく現実はどんなものなのか。
ひとつ、またひとつと、重要な選択をあなたは始めているのかもしれません。
今週のキーワード
新古二道