いて座
とことん茫然自失する
「現実」を粉砕するの巻
今週のいて座は、奇妙な演目をぎっしりつめこんだキャバレーのごとし。あるいは、悪びれることなく極彩色の妄想を、これでもかと繰り出していくような星回り。
この世には、機械的に反復される慣習の世界に決して囲い込まれないものがあるものです。
それは何かの拍子にひょいと飛び出してきては、『不思議の国のアリス』の白うさぎのように、私たちを「その日その日をどう送ろうか」とか、「いかに安楽をキープするか」とか「何を食べ誰と寝るか」といった反復的な悩みの外へと連れだしてくれる。
しかし同時に、そうして不意になにか見慣れないものが飛び出してくることほど、人々の不安を掻き立てる、不穏といってもいい光景もないでしょう。
なにせ、これまでこれこそが現実と思っていた世界の方が幻想で、欺瞞だらけであることに気付いてしまうかもしれないから。
けれど、そこでたじろいではいけない。キャバレーの席に座ってせっかくの演目を真面目腐って鑑賞することほど滑稽な光景というのもないだろう。とめどなくゲラゲラ笑い転げながら、足元の「現実」がガラガラと崩れていく精神の冒険をただただ楽しめばいいのだ。
いて座の守護星である木星が、幻想と放逸の星である海王星と鋭い角度(スクエア)をとっていく今週は、それくらいのつもりで思いきり普段の日常の制約からおのれを解き放っていきたいところ。
劇場的感性を響かせる
「言ってしまえば僕らなんか似せて作ったマガイモノです。すぐにそれと見破られぬように上げ底して暮らしています。」
とミスチルが歌っていたように、私たちは取引先にしろ、自分自身のことにしろ、社会からそう呼べと言われた名称でただその対象を呼んでいるだけで、真に自分の実感を込めて名前を付けられるモノなど、その存在すらすっかり忘れてしまっています。
けれど、やはり
「誰かの語る彼を彼と思い込む行為は、自身の感受性への終止符であり、最も幼稚で非効率な態度、横着(冒涜)」
なのです。
ただ、逆に言えば、自身の感受性のままに誰か何かにみずから名前を与え、口に出して働きかけていくことは、それ自体がひとつの劇的出会いであり、そうした場から劇場が誕生していくのだということでもあります。
今週は惰性で過ごすことなく、そうした劇場的な感性を大切にしていきましょう。
今週のキーワード
Mr.Children「フェイク」