いて座
現在位置は辺境そしてまだ途上
歴史に訪ねる
今週のいて座は、白人の開拓者精神の犠牲となって土地を追われたアメリカ先住民のごとし。あるいは、そうした彼らの歴史と追憶の中に、みずからの姿を見出していくような星回り。
原発事故により故郷と切り離された福島の人々や、原子力産業との共生を強いられた青森県下北半島の人々の横顔には、どこか土地を追われたアメリカ先住民のそれと重なるところがある。
そんな気付きからから書き進められていった『辺境の誇り―アメリカ先住民と日本人』(鎌田遵、集英社新書)は次のような言葉から始まっています。
「国のあり方も歴史の発展過程も、現在の状況もまったく異なるものの、<辺境>から発せられる声を記録する作業を通じて、普遍的な問題としての共通性を見極められるのでは、と思うようになっていた。(中略)本書はこれまでアメリカ社会の<辺境>に息づく人々の現実を見てきた経験を、震災後の日本社会とその<辺境>を生きる人々に重ねて考えた記録である。」
ある意味で、今のいて座のあなたにも、本書のような思い付きやビジョンと、地に足の付いた検証や地道な手続きとのバランス感覚が求められてきているように思います。
別の言葉で言い換えれば、「自分は辺境に追いやられたはぐれ者である」という認識と、「自分は未来のスタンダードを開く先駆けなんだ」という認識はじつに紙一重ではありますが、それを簡単にひっくり返してしまえるほど、私たちはすでに軽い現実を生きれなくなってしまったのだという社会に対する現状認識が必要だ、という風にも言えるでしょうか。
今週は、近くて遠い友人との対話のなかでそうしたバランス感覚や現状認識を培っていくといいでしょう。
道の途上にいる自覚
過去の自分や、どうしても許せなかったことが、現在のあなたを取り巻く状況や、これから起きてくるだろう事態の中に潜んでいるのだと考えてみてください。
つまり隠れているのも自分ならば、それを見つけていくのもまた自分に他ならない。すると次第に、未来は過去の映った鏡となり、過去は未来の記憶として見えてくるでしょう。
そういう通常の「時間の流れ」が逆流しているかのような感覚の中で、あなたがかつて苦しかった頃、この宇宙に何を誓ったのかを思い出し、そうして初心に返っていくことで再び一歩二歩と前進していく力強さを得ていくのです。
ある意味「初心に返る」という言葉は「後付け」なんです。
かくれんぼしている自分を見つけるために足を踏み出していく中で、後から「そうか、自分の初心て、こんなものだったのかなあ」ということが分かってくる。まだまだ自分はそんな道の途上にいるのだと、今改めて思い知ってゆく時なのでしょう。
今週のキーワード
エッジを歩き続けるために