いて座
潮目が大きく変わる時
「さてこれから」の感覚
今週のいて座は「床屋出てさてこれからの師走かな」(辻貨物船)という句のごとし。あるいは、これまでとこれからの境界線上に立っていくような星回り。
男も美容院に行くのがすっかり当たり前になった今の時代だとなかなか伝わりにくいかもしれませんが、床屋というのは顔剃りやマッサージもしてくれるせいか、散髪を終えて店を出る時のさっぱり感やすがすがしさが、なんというかもの凄いんです。
しかも年の瀬が近づいてくると、むさ苦しいまま新年を迎える訳にもいかないという心理も手伝って、余計にこのさっぱり感の強度が違ってくる。
軽くなった身体を泳がせるように師走の町を歩きながら、「さてこれから」何をしようか、やるべきことは山積みなような、そうでもないような、とにかく「さてこれから」という気分を味わっていく。
これはいよいよ7日にいて座で新月が起こり、本格始動の節目を迎えていく今週のいて座の人たちの心理描写としては、まさにぴったりの句と言えるでしょう。
今週はひとつ、そんなすがすがしい気分が味わえるような‟禊ぎの儀式”をどこかでしていけるといいかもしれません。
起をもたらすべき時を知る
「合縁奇縁」という言葉がありますが、出会いや人との縁というものは実に不思議なものです。しかし「縁」などと言うと、さも人知を超えた力が働いてすべてのお膳立てが整えられているように思い込みがちですが、必ずしもそうではありません。
すべての縁が「事」を起こすわけではなく、「事」の起こり方は「心」の運動に大きく左右されていくのです。
南方熊楠という人は「心のとめよう、体のふれよう」で事は起こるのだ、と言いました。つまり人間はさまざまな縁の連鎖や分離、あるいは結合にただ翻弄されるだけではない。縁にみずから働きかけることで、おのずから「起」をもたらすことも出来るのだと。
縁に働きかけるべき「時」を見極めるためにも、まずは絶え間なくあちらこちらをさまよいがちな心をしっかりとめて、遠く離れた自分のゴールやそこへ至る道筋を見据えていきましょう。
今週のキーワード
fate,predetermination of matter(運命によるつながり)