いて座
奇を拾う
花を咲かせ
今週のいて座は、さながら「花咲じじい」のごとし。あるいは、華々しい活躍の前に大事な“灰”を手にしていくような星回り。
花咲じじいのお話は、民間伝承においてさまざまなパターンを抱き込んだストーリーになっていますが、最後に枯れ木に花を咲かせた灰がもともと何だったのか覚えている人は少ないかもしれません。
あれは、もとはと言えば、お爺さんがお婆さんと子供代わりに可愛がっていた犬の亡き骸なのです。
このことは「物語」という不思議な言葉自体についてよく知っておくと、より腑に落ちるかもしれませんね。
そもそも物語とは「モノがかたる(語る・騙る)」ということで、その「モノ」というのは「物」であると同時に「霊(もの)」でもあって、しかもどちらも「憑くもの」なのです。
そして、憑くものとは本来はただよって漂流しているもので、微粒子のようにあまねくところに存在し、山河の隙間を埋め尽くしていて、それが「物」や「霊」となってさまざまな出来事を語っていく。
それゆえ、物事がダイナミックに動き出すためには、犬はいったん灰にならなければならなかった。
今週のあなたも自分の世界の中に、「憑くもの」としての“灰”を見出していくプロセスを経ていくことになるかもしれません。
熊を放つ
「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、それは澱んでいた水流が何かの拍子で元の自然な流れを取り戻すのと似て、ある種の自浄作用なのだろうと思います。
例えば、研究に行き詰まった研究者が、両手をあげて何事かうめきながら部屋や廊下をうろうろしたりうずくまったりするのも、川へ洗濯へ行ったおばあさんが巨大な桃を家に持って帰ってくるのも、どちらも同じくらい奇妙なこと。
ですが事後的に思い返してみれば、それは運命的発見や遭遇のためにはごく自然な「奇」だった訳です。
天才と呼ばれる人というのは、こういう普通の人なら「そんなことやる意味も価値もない」とか「うまくいきっこない」と躊躇したりやめてしまうようなことを、平然と拾い上げて、それを活かそうとするところがあります。(※そういう状態の人を仮にここでは「熊」と呼ぶことにします)
もちろん、あなたにいきなり天才になれとまでは言いませんが、放てるだけの「熊」を自分の中に感じた際は、迷うことなく放っていきましょう。
今週のキーワード
「エネルギーが裂ける」