いて座
追う恋の喜び
かなぶん精神
今週のいて座は、「かなぶんの恋は当たつて砕けろと」(音羽和俊)という句のごとし。あるいは、当たって砕けてでも、誰かと結びついていこうとするような星回り。
誰もが自尊心が傷つくの怖れ、コミュニケーションに自己防衛のクッションを挟み込んでいる時代において、「恋の告白」はもはやファンタジーの世界で起こる非現実的な行為のように思える。
フラれるかもしれないし、バカにされることだってありえる。既読スルーどころか、魚拓をとられて情報を回される可能性だってある。
そんなコミュニケーション環境にあって、恋の告白は極度に軽くなるか、ついに言いだせず胸の中に封じ込められるかのいずれかに二極化していくのは必然だろう。
けれど、そんな時だからこそ掲句のような「かなぶん精神」を発揮していくのが今週のいて座の人たちの精の出しどころ。
もしかすると、相手も言いだせずにいるだけかもしれない。そんな風にみずからに発破をかけて、空気を読まない勇み足を踏み出していこう。
捕食者の祭り
「追われる恋よりも、追う恋」という言葉があるが、これは明らかに、人間の中に残存する動物的側面の証しと言えるのではないか。
獲物を見つけたら、自らつかまえて、食べる。
このシンプルな活動原理は太古から積み重ねられてきた、もっとも普遍的な動物としての存在形式であり、そうして「捕食者」としての本能を呼び覚ましていく行為は人に強い興奮と喜びを感じさせてくれます。
特に半人半獣のいて座にとって、それは定期的に催されるお祭りのようなものであって、忘れてはいけないごく自然な営みであり、自分の半身を生き直していく大切な時間でもあります。
もちろん、お祭りに参加するもしないもあなたの自由ですが、人の心からの欲望すなわち愛と憎しみの根源を探っていくにあたって、捕食者として重ねてきた記憶はやはり避けては通れないものです。
今週は、自らの愛憎を、追われる立場ではなく追う立場から見つめ直していくことで再確認していくことができるかもしれません。
今週のキーワード
半人半獣