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かに座
原風景としての夕焼け
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臓腑に溶け込んである色
今週のかに座は、『どこまでも秋の夕焼といふのだらう』(古川智子)という句のごとし。あるいは、受容の促進としての無常観に全身を染めていくような星回り。
秋の夕焼けは、他のどの季節のそれとも違って、特別な感があります。それは夏に比べて湿度が低下するため見通しがよくなり、かといって冬ほど大気が澄みすぎて光が素通りすることもなく、散乱光が広範囲に照り返していく絶妙のバランスで空一面が真っ赤に演出されていくからなのですが。
ただし俳句は科学の言葉ではなく、あくまで詩の言葉でもって書かれるもの。この「どこまでも秋の夕焼けといふのだらう」はその好例でしょう。
どこまでもどこまでも真っ赤に広がっていく夕焼け空を見ているうちに、記憶のなかのをやはりどこまでも遡り、やがて赤子の鳴き声さえ通りすぎていく。それは言葉で言えば「無常観」ということになるのかも知れません。
こうした無常観がどこから日本人のDNAに刻まれたのか、という点について「仏教」じゃないかという指摘もありますが、それはそうだとしても、それ以前にこの国の「自然」、もっと言えば一面のススキの向こう側に広がる秋の夕焼け空がこの考え方に影響した可能性も大きいのではないでしょうか。
その意味で、18日に自分自身の星座であるかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな茫然自失の無常観のなかで、受け入れるべきものを受け入れていくべし。
滅した後の世界への備え
生物の歴史をこれまで誕生した生物種のうちどれだけの割合が絶滅しているか、という観点から振り返ってみると、じつにその99.9%が絶滅しているのだとか。
そして、現生の人類も生物学的には今後100万年続くことは考えにくく、今後10万年続くかどうかも分からないそうです。ウイルス研究の第一人者である宮沢孝幸は、すでに20万年続いた現生人類が別の新型人類への入れ替わっていくスイッチは、すでにもう入っているのかも知れないと述べています(『京大おどろきのウイルス学講義』)。
人類が、そしてみずからもまた近く絶滅してしまうかも知れないという仮定を、まじめに受け止めるとき、そこでは「後に何を残すか」ということのみが問われていきます。現生人類は、そしてあなた自身は、あなたが滅んだあとの世界ないし地球環境に、何を残すべきであり、現にどんなものを残しつつあるのでしょうか。
今週のかに座もまた、大袈裟な話ではなく、先々のことを考えての備えや後始末について考え、動いていくことがテーマとなっていくでしょう。
かに座の今週のキーワード
非個人的成長への贈与
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