おひつじ座
息を整える
赤と峠と
今週のおひつじ座は、「赤き馬車峠で荷物を捨てにけり」(高屋窓秋)という句のごとし。すなわち、いつの間にか背負い込んでしまった肩の荷をおろしていくような星回り。
せっかく里から運んできた荷物を「捨てにけり」と言う。背景にある事情や理由もよく分からないし、なんだか唐突な印象を受ける。パッと鮮烈な馬車の「赤」が、余計にそんな印象を強めているような気もする。
けれど、人生というのは特別な理由もないままに、突然やってくる出来事の連続によって出来上がっているようにも思う。時に人の死であったり、事故や病気などといったアクシンデントなんてものは大抵がそんな調子で起こってくるものではないだろうか。
いまのあなたも、いつの間にやら手に肩に背に、さまざまな「荷物」を抱えながら、人生の途上としての「峠」を迎えている。さて、そのすべてを峠の向こう側までずっと抱えていくつもりなのかい? と、そんな風に星はあなたに語りかけているよう。
もちろんどうするかはあなた次第。でも運命がパッとやってくることもあるのだから、同じようにパッと手放してしまうことだって、ごく自然な光景なんじゃないのかな、と思う訳です。
荷捨てと目覚め
以下は野口晴哉の「気力」という文章の一部抜粋です。
「出来ることをやるには気力は要らない。要らない時には気力は生じない。
出来ないことをやろうとする時には、気力が要る。
だからできないと思われたことに、できる可能性を見出しただけでも気力はもり上がる。
出来ないことをやって行こうと決心すれば、気力は満ちてくる。
出来るようになったらやろうと考えていると、気力はなくなる。
気力があると疲れない、飽きない、体の力はフルに発揮される。
だから体の異常は正常にかえり、眠っている部分は醒め、
古くなった体にも新しい息が生じる。」
「荷を捨て」るときというのは、どんなときだと思いますか?
野口晴哉を援用するなら、それはきっと当たり前にできてしまうことばかりを、なんとなく惰性で運んでしまっていると気付いた時なのではないでしょうか?
今週のおひつじ座へのキーワード
呼吸と運命