おひつじ座
運命の観測者
今のおひつじ座:手相見の朧
今週のおひつじ座は、「手相見のにわかにふえし街朧」(伊藤敬子)という句のごとし。あるいは、未来を知ることによって、過去を変えていくような星回り。
春の夜、何もかもがぼんやりと霞んで見えることを「朧(おぼろ)」と言いますが、街頭などで手相師の前に座り、小さな机の上の四角い灯りの前で熱心に手のひらを見つめる人々の後ろ姿もまた、どこか朧のようです。
手のひらに刻まれたしわはこれまで生きてきた証しであり、何に心を動かしエネルギーを注いできたのかを語る雄弁な痕跡。そして、それらの延長線上にある、朧のような未来を手相師はそっと掴んで言葉にしてくれているのかもしれません。
今週のあなたは単なる情報収集や仮説の検証に終始するのではなく、過去と未来を包むひとつの全体像へと導かれていくことができるかが問われてくるでしょう。
おひつじ座へのアドバイス:量子の朧
量子力学の世界では、観測される前の時点での粒子の状態は未知などではなくそもそも決定されておらず、観測行為自体が粒子の状態を決定すると考えられています(「シュレーディンガーの猫」の思考実験の基になっている考え方)。
ワシントン大学のカーター・マーチ教授は、そこからさらに「粒子の未来の状態を知ることによって、 その粒子の過去の状態が変化する」ことに気付いたと言います。
つまり、未来の事象を知ることによって 過去を変えられるということであり、これがもし古典力学の世界にもあてはまるとしたら、私たちの行動は、未来の私たちの意思決定によって影響を受けていることになる訳です。
もちろんこうした考えは仮説の域を超えていませんが、 時間が正方向にも逆方向にも流れている量子の世界と、手相師の見る手のひらの世界はどこか繋がっているように思えます。
おひつじ座 今週のキーワード
観測者問題