おひつじ座
風邪をひいた子供のように
「宇宙」と言い換えることで見えてくるもの
今週のおひつじ座は、「自然」から「宇宙」への変動のごとし。あるいは、身体とリズムをより自然な循環とかみあうよう、調律していこうとするような星回り。
近代以前と違って、現代社会では私たちの身の周りにあるのはあるがままの豊かな自然というよりも、まずもって商品や情報であり、それらが次々と生み出されては流れていく奔流と言っていいでしょう。そこでは、一つ一つのモノの実感は際限なく軽くなっていき、そうして私たちは自然を見失ってきたのだと言えます。
現代人が直面しているこうした事態について、俳句の実作者の立場からより切実な実感を持ってきたであろう長谷川櫂は『俳句の宇宙』の中で、次のように述べています。
そして、今次の新しい大変動に立ち会っているのかもしれない。「自然」から「宇宙」へ。「宇宙」と言い換えることで新しく見えてくるものは何だろうか。一番大きな違いは、「自然」は人間の外側を取りまいているものだったが、「宇宙」は人間の外側にあると同時に内側にも見出されるだろうということだ。
「自然」から「宇宙」への変動によって滅んでゆく季語と生まれてくる季語があるだろう。(中略)リズム――人間が宇宙と呼吸を合わせるためのリズムは今までよりももっと意識された大事なものになってゆくだろう
ここで言われている「宇宙と呼吸を合わせるためのリズム」の一つが、例えば俳句の五七五であり、また月の満ち欠けであったり、日が昇っては沈んでいくという太陽の動きに基づいたサーカディアンリズムであったりする訳です。
12月5日におひつじ座から数えて「規律」を意味する6番目のおとめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分なりの「宇宙と呼吸を合わせるためのリズム」ということを意識しつつ、身体がそれにどう反応していくかを感じ直してみるといいでしょう。
循環に委ねていく
例えば、身体が病気にかかると、人は驚くほどに変容していきます。それは病いというものが、最後の手段として「自然な循環」というものを強制的に促すものだから。
「なぜ私でなければならないのか」
「どうして他でもない今なのか」
「私はなぜ生まれてきたのか」
これらの問いに対して耳障りのいい答えはまず存在しませんし、偉い先生にいくら説明されても、それだけでは決して心から納得はできないでしょう。
あらゆる宗教は「生きることは不条理である」というところから出発していますが、その根幹にあるのは、身を貫くような切なさで自分が大いなるものの一部であると実感していく感覚に他ならないのではないでしょうか。
風邪でふせった子供は、いったい何にどんな風に身をゆだねているのか。今週のおひつじ座は、そんな子供のころの体感を改めてなぞっていくことになるかも知れません。
おひつじ座の今週のキーワード
ウチューーー!!!(くっきー)