おひつじ座
未知なる動きの召喚
地上の人間の不自然さ
今週のおひつじ座は、おかしな動きをしているUFOのごとし。あるいは、地球生活の特徴に必ずしも縛られる必要はないのだと思い直していこうとするような星回り。
UFO(未確認飛行物体)の報告例では、そのほとんどの場合で、とつぜん消えてしまったり、それまでの軌道から離れた場所にいきなり現われたりといった、地上の重力を無視したような動きをするという話に直面します。
その動きのあまりの“不自然さ”のため、それらは「見間違い」として処理されることになる訳です。しかし、例えば松村潔は、人間の精神の働き方を鑑みればむしろそうしたUFOの動きの方が自然なものであり、「地上の法則に従って、とくに重力の影響を受けながら規則的に動く航空機は、肥満体で身動きがとれない人が至近距離にあるコンビニまで10分かけて歩くような姿に見えてくる」のだと言っています(『人間は宇宙船だ―次元を越えて隣の地球へ―』)。
今の社会では、正しく何かを理解し説明するには「ファクト」や「エビデンス」が重要とされていますが、考えてみれば、これは意識と物質とをきっぱり分離したものとして扱う近代的世界観の上にある発想であって、こうした物の見方や捉え方から得られる知識や見解は、すでに人工知能に取って代わられつつあります。
一方で、私たちは、決して物事を、物の動きに即して理解するわけではない。むしろその外部に踏み込み、その外部を招き入れることで、物事の理解を実現しているのではないでしょうか。人がUFOを見出すのも、そうした形での理解の副産物であるように思います。
16日におひつじ座から数えて「創造性」を意味する5番目のしし座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、“問題”をすぐ“解決”して一致させてしまおうとするのでなく、むしろその間にある解消されえないギャップに、何か未知なるものを召喚していくべし。
ゆらぎとしてのここに在るということ
いつからか私たちは「身を固める」ことで大人となり、まるで鉛の塊のような強固な自己同一性を獲得してこそ、どんな困難にもつぶれることなく、与えられた使命を全うしていくことができるのだと信じて疑わなくなりましたが、今週のおひつじ座は、そうした「近代的」と言っていい信仰が大いに揺らいでいきやすいタイミングとも言えるかもしれません。
こうしたタイミングでは、ともすると<私>はギリシャ語でいう「プネウマ」のような空気や息吹、ゆらめき、流れのようなものとして感じられやすくなっていくでしょう。
そこであなたは一抹の心許なさを覚えると同時に、重力にしたがって安定した立場や固定化された人間関係に対して、妙に居心地の悪さを感じたり、ここではないどこかへ飛び去っていくUFOのように、周囲の重力場をかき乱していきたくなるはず。
今週のあなたもまた、まだこの世に存在したての、すなわち未確認な飛行物体となったつもりで過ごしてみるといいでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
未だ確認されざる私を追う者としてのおひつじ座