おひつじ座
あえて道理を弁える
まず自分を救うこと
今週のおひつじ座は、「因果応報」という言葉を温めていくよう。あるいは、普通の一日においてこそ「非を知り、過を改め」ようとするような星回り。
現代では因果応報というのは古い考えとして、捨てて省みられなくなりつつありますが、昭和の時代に多くの政治家や財界人の御意見番となり運命学の第一人者でもあった安岡正篤は『陰騭録(いんしつろく)』という明代に書かれた古典を通して、単なる勧善懲悪としてではなく、自己を超えた絶対者の意志を畏れ自己の行動を慎しむという陰騭思想は、現代においてこそより一層大切にされるべき思想であると述べていました。
「外、人の急を救はんと思はば……」まず自分の邪念をふせぐことを考えよ。そうして日々に自分の非を知り、日々に過を改めることが肝要である。一日自分の非を知らなければ、一日自分を是として安んじてしまう。一日何の過も改めることがないというのは、とりもなおさず一日の何の進歩もないということである。
「人の急」とは、人が大切にするもののことで、それが家族であれ同僚であれ、たまたますれ違っただけの赤の他人であれ、いざ自分が困難な状況にある誰かの元に駆けつけ助けたいと思ったとしても、日頃から自分の「非」を知り、「過」を改めることが十分にできていなければ、それは不可能だというのです。確かに、現代では自分の過ちさえ認められないにも関わらず、なぜか他人ばかり救いたがる人間が余りに多いように感じられます。
その意味で、4月13日におひつじ座から数えて「やるべきこと」を意味する10番目のやぎ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、うかうかと享楽に過ごして時間を無駄にしてしまうのではなく、天啓を習熟玩味して勉めてこれを実行していくべし。
立ち返るべき三つの心
『陰騭録』では、過を改めるには、第一に恥を知ること。第二に畏れる心を起こすこと、第三に勇猛心を奮い起こすことが大事であり、この三つの心を備えれば、たとえどんな過ちがあろうとも、春の氷が日に溶かされるように消え去ってしまうものだと説いています。
人が人である以上、色を好み、名声を好み、財産を好み、怒りを好むなど、さまざまな過ちが起こるものですが、安岡は「過悪ははりねずみの毛のようにたくさんある」のだと表現しています。それゆえ、人がそれらを完全に根絶するなどということはまずありえない。したがって、生きている限り心が作り出し続ける過悪は、「心であれ、健康であれ、すべて顔に現れ」続けるのであり、それを指摘してくれる友の言葉を何よりも大事にしていかねばならない、と。
その意味で、今週のおひつじ座もまた、ぐずぐずと姑息になって気が衰えてタイミングを逸してしまう前に、今のうちに改めるべき自身の「過」を天地鬼神の道理(法則)の前に並べ立ててみるといいでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
善を見ればすなわち遷り、過あればすなわち改む