おひつじ座
一周まわってみずみずしく
冬季の大根
今週のおひつじ座は、『大根を洗へば太くなりにけり』(星野恒彦)という句のごとし。あるいは、図太く、かつみずみずしくあろうとしていくような星回り。
論理的に考えれば、はてと首をかしげざるを得ない一句でしょう。水で洗ったくらいで、大根が太くなるはずもない。しかし、一方で感覚的にはよく分かるという人も少なくないはず。泥や汚れを洗い落とされ、わが手にのっている大根は、輝くようにみずみずしく、ずしりと太く感じられてくる。
実際、大根は冬季に入ると、寒さから身を守るために糖分が増し、辛みの代わりに甘みが出て、大根のシロにも磨きがかかっていくのです。そしてそれは、人間にもまた同じことが言えるのかも知れません。
奮い立つような正念場や逆境にあればこそ、かえって苦しさをしのぐための笑いやユーモアが湧いて、みずみずしさも増し、人として図太くなれるというもの。
その意味で、23日におひつじ座から数えて「成熟」を意味する10番目のやぎ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな冬の大根のようにずしりと身を太くしていきたいところです。
アンチ・出木杉くん
例えば、『ドラえもん』における出木杉くんは、勉強ができてスポーツも得意な上、ルックスもよく、教師からの評価も高い完璧な存在です。ただ、それにも関わらず、登場回数が圧倒的に少ないのは、視聴者として見ていても、友だちとして一緒にいても、さして楽しくはないからでしょう。
彼は分かりやすい欠点や過剰さがないがゆえに、結果的にいつも自分ひとりだけがスマートな位置に立っていて、それがとにかくつまらないのです。その点、のび太にドラえもん、ジャイアン、スネ夫などは、よいところとダメなところのデコボコ具合が見事であり、それゆえに見ていて楽しく絡みがいもあり、一周まわってみずみずしく感じられるのだと言えるのではないでしょうか。
一見スマートに見えるモノが、実際にはスマートに機能するとは限らない(というか大体ヘボい)ように、何でも自分ひとりで出来てしまうスタイルがもはやまったくイケてないことに、僕たちはもういい加減気付いてきているはず。
その意味で、今週のおひつじ座もまた、出木杉くん的な思想から自分がどれだけ脱け出せているのかいないのかが少なからず浮き彫りとなっていくように思います。
おひつじ座の今週のキーワード
論理的な正しさよりも感覚的な好ましさを