おひつじ座
小さくまとまるなかれ
創造の流儀としての「挑発」
今週のおひつじ座は、風景画において幾重にも重ねられた平行線の彼方のごとし。あるいは、みずからを挑発し、発破をかけていこうとするような星回り。
詩人や宗教家の仕事が自身の魂を世界の彼方へと飛翔させていくことだとすれば、画家や版画家の仕事は世界を動き出させ、平板な宇宙のなかに眠っている力を目覚めさせ、挑発することにあるのだと言えます。
特に、彼らが幾重にも平行線を重ねることで広々とした大地の広がりを描き出すとき、それは筆の彼方に地平線を運び去り、消散させてしまう<外部>への遁走と化し、そこではこの世界に対する力動的想像力の限界が試されていくのです。
同時に、そうした大地の広がりとの同一化は、人間の自然な自尊心を呼び覚まします。壮大な未来に生き、限界を知らぬ意欲に生きる一方で、自分が宇宙の主人となるまで決して満足しないような超人的な誇りとしか言いようがない気分を湧きたたせるはず。
その意味で、24日におひつじ座から数えて「想像の限界」を意味する9番目のいて座で下弦の月(意識の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、謙虚さの仮面の下で抑圧してきた自尊心をよみがえらせるべく、果敢に今目の前にある現実からの決死の遁走に身を任せていくべし。
自分の外に出ていくということ
人生を「制御する」という行為は、それがどんなに建設的なものであれ、現実の1本1本の線が未来に向かって徐々に像を結んで確立していくプロセスにほかなりません。
どんなにデタラメに描いたつもりでも、そこには完成図への意図が働いてしまう。それの何が問題かというと、そこからほとんど面白いものが出来上がってこないのです。ありがちなエンディングへの着地が見えてしまった瞬間に、見ていた映画に白けてしまうように、どこかで見たことのある型にはまった月並みさが自分の人生にもついて回ってくる。
だから人は、ときどき地平線の彼方へとみずからを誘おうとするのかも知れません。すなわち、すでに確立された自己像の輪郭を攪乱して、今ここにいる自分の外に出て行くこと。そうして、鳥になったり、動物になったり、死者になったつもりになりきってみるのです。
そういう風にして見えてくる光景が多少なりとも現実や日常において反映されるようになってきたとき、あなたはまた一段と美しい生きものになってゆけるでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
人間らしい人間より美しい獣となること