おひつじ座
なんでもないことを楽しもう
暇を潰さず生かすには
今週のおひつじ座は、「なんとかやっていく」術を磨いていくような星回り。あるいは、読むこと、話すこと、住むこと、料理することの技芸に刷新を忍びこませていくこと。
コロナ禍では、労働と余暇の境界線はますます曖昧になり、そうした状況に困惑したり疲弊していたりする人もいる一方で、両者のあわいで生きる術を編み出し、そこから思いがけない効用を引き出すことに成功している人も少なくないのではないでしょうか。
つまり、私たちは「忙しすぎる」ことに文句をいいがちな一方で、突然できた暇に耐えられず、それを実にくだらない消費行動に費やして無駄にしてしまうのであり、今週のおひつじ座もまた、そうした“暇”に対してどのような戦術を用意していけるかということがテーマになってくるのだと言えます。
例えば、本やテキストを読むことはYoutubeをだらだら見るのと違って、言葉なき沈黙の生産につながりますし、住むことは単なる家賃に対する費用対効果の問題としてあるのではなく、空間のゲームに参加して、与えられた場を生きるに値するものに変えうる可能性を切り開いていくことに他ならず、会話とは「決まり文句」をあやつったり、ふりかかってくる色々な出来事をしのげるものに変えて楽しんだりする術のひとつなのです。
27日におひつじ座から数えて「ありきたりな日常に潜むもの」を意味する6番目のおとめ座で下弦の月(気付きと解放)を迎えていく今週のあなたもまた、どうしたら暇を享受して楽しむことができるかという問題に意識的に取り組んでみるといいでしょう。
超芸術トマソンの思い出
労働と余暇のあわいで生きる術の具体例と言うと、例えば1980年代に赤瀬川原平らが発見し提唱された「トマソン」が挙げられるかも知れません。
これは当時四谷にあった「上り下りする形態と機能はありながら、上った先には出入り口が無く、降りてくるしかない立派な階段」のように、存在がまるで芸術のようでありながら、その役に立たなさ・非実用性において、芸術よりももっと芸術らしい物のことを指したもののこと。
つまり、世間の誰もが「作品」などと見なすことは想像だにしていないものの中にこそ、真の芸術性を見出し、発見していく営みをそう呼んだ訳ですが、今週のおひつじ座には、どこかそんなトマソンブームを彷彿とさせる美学の萌芽が、お天気雨のように、唐突に降って湧いてくるような気配があります。
もしそうした機会を得たならば、ぜひそのチャンスを生かして今の自分の心身が喜ぶ楽しみを追求してみてください。
おひつじ座の今週のキーワード
労働と余暇のはざまでこそ享受する