おひつじ座
驚きのさなかに身を置く
こちらは8月9日週の占いです。8月16日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
それでも滅びざるもの
今週のおひつじ座は、「硝子(びいどろ)の魚おどろきぬ今朝の秋」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、全力で新たな希望に開かれていこうとするような星回り。
8月7日の「立秋」を過ぎると、まだまだ残暑は厳しいものの、ふと秋の気配を感じるようになります。そして昔から日本の秋の訪れは“驚くべきもの”だったようですが、掲句の面白いところは、驚いているのが人間ではなく金魚鉢の金魚だというところ。
しかもその驚いた顔がガラスの球面で引き伸ばされて、ますます驚いたように見えたのでしょう。ガラスのひんやりとした感触もあいまって、視覚的にだけでなく触感的にも涼やかな秋の訪れを感じさせてくれます。
しかし古代ローマの都で蚊が多く伝染病にかかりやすかった夏は「死の季節」と呼ばれていたように、人口が密集していた江戸時代の大都市もまた同様の事情を抱えていました。
その意味で、掲句の金魚はうだるような暑さで死にかけていたところを、秋の涼しさを全身で感じ取ることでなんとか命を繋げたのであり、掲句の「おどろき」というのも、死すべき者の運命やこの世の無常さを一時でも免れたことへの宇宙的驚愕であり、それでも滅びざるものへの開かれでもあったのではないでしょうか。
おひつじ座から数えて「生命力の源」を意味する5番目のしし座で8月8月夜に新月が形成されたところから始まる今週のあなたもまた、それでも滅びざるものへの「おどろき」に全身を震わせていくべし。
玉手箱を開けてみよう
「玉手箱」といえば、浦島太郎が竜宮城から地上に戻る際に「絶対に開けるな」という言付けとともに受けとったあれです。ダチョウ倶楽部にならうまでもなく、そんな前フリをされれば気になって仕方なくなって開けてしまうのが人間のサガというもの。
太郎の場合、竜宮城では封じ込められていた“実際に重ねた年齢”が箱の中から出てきて一気に年を取ってしまいましたが、そんなふうに玉手箱は中に「誰もが気付かないフリをしてきた現実」が入っていて、必ずいつか誰かの手によって開けられる運命にあるのです。
それはとても怖いことですが、しかし、生命が帳尻を合わせていくためには、やはり必要不可欠なことなのです。その意味では、金魚鉢の金魚が秋が訪れに驚いたというのも、玉手箱を開けた人間のメタファーなのだと言えるかも知れませんね。
今週のおひつじ座は、普段なら避けるような重い話だったり、なにげなく問いかけられた根本的な問いかけなどに、いつも以上にみずから頭をツッコんでいきやすいでしょう。
おひつじ座の今週のキーワード
玉手箱も開けられる時を待っている