おひつじ座
現実一年生
生誕の挨拶
今週のおひつじ座は、「一合の酒いつぽんの山桜」(奥名春江)という句のごとし。あるいは、特別な邂逅に臨んでいくような星回り。
桜の季節になって、ひとり山に出かけて野生の桜を眺めている。そんな情景を詠んだ句。おそらくは、一合の酒というのも、コンビニなどで買ったコップ酒なのでしょう。
山桜は同じ地域でも、個体によって開花時期や、花つき、花の色の濃淡、樹の形など様々な変異がありますから、「いつぽんの」とあるのは、そのなかで特に気に入った一本があるのでしょう。
一本の山桜とひとりの人間。ちょっとさみしくて、それでいて満ち足りた、いちばんお酒がすすむシチュエーションであり、もしかしたら作者にとってそれは毎年繰り返してきたお決まりの儀式なのかも知れません。
21日深夜におひつじ座から数えて「現実の深層」を意味する4番目のかに座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分との対話をゆっくり行っていけるだけの時間と場所とを確保していくべし。
『東京一年生』
竹原ピストルさんの『東京一年生』という曲をご存知でしょうか。夢を追いかけて東京に出てきた主人公の気持ちをストレートな歌詞とともに歌った曲ですが、おそらく実際に竹原さんが過去に感じていたことを歌っているのでしょう。
生きづらい、暮らしづらい、うまく呼吸ができない。そういうことは誰しもが一度ならず感じているはずですが、今のおひつじ座もまたそれを強く感じている人が多いかも知れません。
歌詞に引き付けるなら、それは「夢があるから」であって、けっして「街のせいじゃない」んです。「例えば人ごみが息苦しかったなら、まずが自分が消えることだよ。さもなくば、窒息するまで歌いきるんだ」。
街に染まって誰かを汚い罠に陥れる側の人間になるのではなく、逆に堅苦しい価値観やガチガチに固められた奴隷根性に風穴をあけて緩めてあげられる側の人間になろうと。
そんな風に、今週はできるだけ自分のなかの声なき声と向きあいつつ、それでいてどこかさっぱりと過ごしていきたいものです。
今週のキーワード
ぱっかりさっぱり