おひつじ座
意志をこしらえる
※2021年3月1日~3月7日の週間占いは、公開を延期とさせていただきます。(2021年2月28日追記)
願いの連鎖を引き受けて
今週のおひつじ座は、「百年は生きよみどりご春の月」(仙田洋子)という句のごとし。あるいは、連綿と継がれてきた意志の連鎖を感得していくような星回り。
「みどりご」は3歳くらいまでの嬰児のことを指す言葉で、古くは「みどりこ」。若い母親が我が子への思いを言い放っているのでしょうか。
今でさえ人生百年時代と言われるようになりましたが、かつては百年どころか今日明日の無事と成長を祈るだけでも精一杯であった時代もあったことを思えば、いかにも現代らしい生命賛歌です。
この“母親”は言わばへその緒でつながった「みどりご」へ限りない愛とともに自らの願いを凝集させ、移しこんでいこうとしている訳ですが、それは実際の子どもであれ、何らかの作品や新たな活動であれ、中長期的な未来を肯定的に捉えていこうという強い意志に支えられて初めて可能になっていきます。
これは逆に言えば、こうして今あなたが無事に生き永らえているのも、連綿と母から子へ継がれてきた「生きよ」という願いの連鎖のおかげでもあるのではないでしょうか。
27日におひつじ座から数えて「応答」を意味する6番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、背後からの願いに懸命に応答していくことを意識してみるべし。
片付けをするように
上には誰がいる。下には誰がいる。
隣りには誰がいるのだろうか。
特別というものはなく、単に魂の過程に見合った役割の技。
これは橋龍吾さんの「アパート(a part)」という詩ですが、人間存在の神秘性は、まさに人間が宇宙秩序の一歯車でありながら、同時に途方もなく自由であることに在ります。
しかし、自由は無秩序とつねに背中合わせの関係にあるため、時に人生はごちゃごちゃとちらかって足の踏み場がなくなった部屋のような状態に陥って、そこで私たちは自分自身の未来さえも容易に見失ってしまいます。
同時に、そこで私たちは片づけをするように、自身の後ろや前、隣りや上下を見回す中で、ようやく「魂の過程に見合った役割の技」を繰り出していくことができるのです。
その意味で、今週のおひつじ座のテーマは、ごちゃごちゃとして薄ぼけた自分という存在に輪郭線を引き直し、自らの手で組み直していくことで、請け負うべき鮮烈な意志をこしらえていくことにあるのだと言えるでしょう。
今週のキーワード
こしらえる…「手を尽くして、必要なものを整える。用意する。」