おひつじ座
結び目としての私
絆と再生
今週のおひつじ座は、女たちが作品を共に仕上げる「キルティング・ビー」のごとし。あるいは、精神の拠り所としてのフレンドシップを編み上げていこうとするような星回り。
古代から糸紡ぎや縫い物、手芸、機織りなどは女性の手仕事として連綿と受け継がれ、勤労のモラルとも結びつけられてきました。
例えば、天王星の発見された1780年代から25年かけて書かれた『西洋事物起源』では、「(編み物は)会話を妨げず、気を散らせることもなく、空想にふけりながら仕事をすることもできる」と記されており、従来戒められてきた「おしゃべり」や「空想」が手仕事に付き物であると指摘されているばかりか、容認されていることが分かります。
実際、手仕事は女性同士が集まっておしゃべりしながら行うのに都合がよく、とりわけアメリカの開拓地で行われきた「キルティング・ビー」は女性同士の絆を深める貴重な場でもありました。
キルトはそれぞれが持ち寄った端切れをみんなで一針一針縫い合わせ、時にはそこに著名やメッセージを入れて作られるのですが、それはまさに一人ひとりの思いをつなぎ合わせることであり、そうして作られたフレンドシップは新生活に踏み出した女性たちにとって、その実用性以上に大切な精神の拠り所として機能していたのではないでしょうか。
2月3日23時59分に立春を迎えていく(太陽が水瓶座15度へ移行)今週のおひつじ座のあなたもまた、かつての新開地の女性たちのように、当座の収入や働き方だけでなく、どうしたら精神的な満足が得られるか、またそのために必要な繋がりをいかに結んでいくかについて考え、実行してみるといいでしょう。
記憶が書き換わる時
「構成的記憶」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。現実に自分の身に起きた事実そのものは変えられなくても、想起される記憶であれば後で幾らでも捏造し、でっち上げることも可能であるということを示す際に使われる心理学の言葉であり、ある意味で今週のあなたにとっても縁の深い言葉となっていくでしょう。
私たちの記憶はあまりにも曖昧で、他人からの操作の影響をもろに受けがちなのですが、そうした記憶の書き換えは、しばしば日常のリズム周期の外に置かれた時にも自然に起きているようです。
つまり、夜更かしや昼夜逆転に限らず、いつもの帰り道から不意に外れた体験や、これまで降りたことのない駅に降りるなど、ちょっとしたもののはずみや不意にできた意識の空隙まで、私たちはそれらを利用することで寝返りでも打つように記憶を書き換えているのかも知れません。
今週のおひつじ座は、どこかでそうした「書き換え」を自覚的に、かつ他の誰かと共犯的に犯していこうとするような動きが出てくるはず。その際、何を書き換えるのか、を執拗に問うよりは、いかに気持ちよくそれを行っていけるかを意識していきたいところです。
今週のキーワード
ほころびを編みなおす