おひつじ座
危機を転機に転ずる
長考時にすべきこと
今週のおひつじ座は、「あらためて」という言葉のよう。あるいは、これまで積み重ねてきた過去の過程をたどり直していくことで「次の一手」を思い定めていくような星回り。
将棋の羽生善治さんが、以前インタビューで次のように答えていたのを見たことがあります。
「長考するときに何を考えているかというと、こう指せばああ指してくるのだろう、といったような、これからのさまざまな可能性、むろんそういうことも考えるが、むしろ初手から現在の局面までにいたる過去の過程をもう一度おさらいしていることが多いのだ」と。
つまり、どういう流れから今の局面ができあがったのかを確かめていく、そこからおのずと次に指すべき一手が何なのかが自然と浮き彫りになってくるという訳ですが、これは岐路において「あらためて」進むべき方向や取るべき手段に悩んだ際には非常に重要なプロセスと言えるでしょう。
この「あらためて」という言葉には、「新しく、あらたに」という意味と、「これまでのことを吟味し改めて」という意味とで、二重の意味合いがありますが、この生き方ということにおいては、人はこれまで生きてきたものをおいては新しいものをいきなり発明するなどということは決してできませんから、新しい問題やこれまで経験したことのない事態に対する時ほど、おのれの「来し方」や「古さ」と真剣に問うことが鍵になってきます。
21日におひつじ座から数えて「原点回帰」を意味する4番目のかに座で今年2度目の新月を迎えていく今週のあなたもまた、いま自分が直面している危機をいかによき転機へと変えることができるかが問われていきそうです。
時熟する
若い頃というのは経験の厚みがまだありませんから、考えごとをするのでも思索というより思考に近いと言えるかも知れません。
その意味で「思索」というものはだんだんと「自分が描いた通りの人生」ではなくなってきてから初めて深まってくるもの。そうなってくると「人生について思索する」のではなくて、人生それ自体が自然と思索になっていることにハッと気が付いていくように感じられてきます。
哲学者のハイデガーはそれを「時熟(じじゅく)」と呼びました。時間であるところの人生が、おのずと熟し、自分が存在しているということをめぐる謎の味わいが発酵してきて、得も言われぬ奥深い味がしてくる。
人間の魂というのは、どうしてもそういうものに惹かれてしまう。わかっちゃいるけど、やめられない。そういう意味で、やはり自分の過去というのは人間にとって最高のコンテンツなのです。
今週のおひつじ座は、そんなことをぜひとも頭の隅に置いて過ごしていきたいところ。
今週のキーワード
「あらためて」