おひつじ座
精神の城塞
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの日課
今週のおひつじ座は、マルクス・アウレリウスにとっての『自省録』のごとし。あるいは、自分自身と誠実な対話を重ねていくような星回り。
この本は最盛期のローマ帝国の皇帝であった著者の日記であり、原題が「自分自身に」であるように、激務の傍ら自身の悩みと葛藤、信念と希望とをひたすら自分のために綴っていった備忘録に近いものと言えます。
つまり、それは起きた事実に対して自分が為すべき行動の規範やその参考となる考え方(ストア派の哲学など)を書きつけたのであり、彼はそれを宮殿だけでなく北方のゲルマン人による反乱鎮圧のために赴いた遠征の地でも書き継いでいきました。
「これ以上さまよい歩くな。(中略)お前の生の目的に向かって一路急げ」
「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。(中略)生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。」
著者はこのように書き記すことによって、まさに精神をそこに鎮め、その積み重ねを通してなすべき行動を確定させていったのです。
11日(土)におひつじ座から数えて「動機の深堀り」を意味する4番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自らの精神を深め、行動を支えてくれるような基盤を改めて整えていくことに注力していきたいところです。
毎日‟魂の軌跡”を書き起こす
2000年前の著者が実践していった『自省録』のスタイルは、現代でも手帳ひとつ、ないしスマホ一台あれば誰でも簡単にできることです。
毎日、起きた出来事を受容し、何かしらそこに意味を見出していく。その上で、それに相応しいと思える人生の指針を、毎日書き出していく。
これはまさに自分の魂の軌跡に限りなく近いものを、死以前に描き出さんとする哲学の実践であり、人生をより手応えのあるものにするテクニックでもあったのだと言えるかも知れません。
そしておそらく、プラトンが理想とした哲人政治を人類史上ただ一人行った著者の魂の軌跡は、現代のどんな自己啓発セミナーよりもエレガントに、かつ雄弁に私たちを励ましてくれるはず。
今週のあなたもまた、自分自身を励まし奮い立たせるべく、彼のスタイルを素直に踏襲していきたいところです。
今週のキーワード
素直に、謙虚に、物事を受け入れる