おひつじ座
やったりやられたり
悪玉の必然性
今週のおひつじ座は、「西瓜太郎踊り出でよと割てけり」(沼波瓊音)という句というのごとし。あるいは、何気ない日常の光景を、劇場化させていくような星回り。
桃から桃太郎が生まれたならば、西瓜(スイカ)からは西瓜太郎が生まれてくる、はず。
そんな幼稚とさえ言える思いつきではありますが、確かにあの巨大な緑の玉をひと思いに割った時、そこから何か思いがけないものが飛び出してくるのではないか、と思ったことのある人は案外多いのではないでしょうか。
しかし西瓜は桃よりずっと大きく、割れば真っ赤な果肉が口を開ける。さらに皮は虎模様に見えなくもなく、どちらかと言うと、鬼ヶ島で桃太郎を待ち受ける赤鬼が生まれてくる方が想像しやすい。
それはどこか、欲動に駆られて暴力と性に走る人間の負の側面を映し出しているようにも思えてくる。そういうものが何かの拍子にパッと「姿かたち」を伴なって具現化されたものこそが「西瓜太郎」なのかもしれません。
9日(火)におひつじ座から数えて「出会い」を意味する7番目のてんびん座で上弦の月を迎えていく今週は、そんな思いがけない劇化の瞬間を身をもって体験していくことになっていきそうです。
砂場で遊ぶ子らのように
「人生もまた一輪の花のようにはかないものであるならば、友よ、砂の上にぼくらの家を建てて、遊ぼう」
これは以前、鎌倉文学館で目にした一文ですが、今週のおひつじ座の人たちにもこの感覚は相通じるのではないかと思います。
砂場で遊ぶ子どもたちは、そんなことをいちいち言語化して考えたり、口に出す訳ではない。けれど、実際に砂場というのは遊びを通して出会いがあり、またそこで作られるものにはどうしようもない儚さと、それゆえの美しさのようなものが感覚的に感じられるのです。
考えてみれば、大人になった私たちが日々追いかけているのも、そうした子供時代の「砂の城」の延長線上にあるのかもしれません。
ただ、「西瓜太郎」もそれが砂遊びならば、砂場の中で別の具現化されたもに存分に倒されればいい訳で、辺に無粋な平和主義の仮面を身に着けるよりは、そうしてやったりやられたりしていく方が、よほど健康的なように思います。
今週は、そうした闘争の美学のようなものにも意識をおいてみるといいでしょう。
今週のキーワード
儚いゆえに美しい